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2児の母がデジタル庁で変革に挑む BPRで描く“現場が生き生きとする職場”

【後編】デジタル庁初の民間人材を訪ねる


 9月1日のデジタル庁創設に向けて第四回公募が始まっている中で、前回はデータ領域における民間人材の活躍を取り上げた。今回は、ITストラテジストとして入庁し、デジタル庁という垣根を越えて邁進するコンサルタントを取材。自身で設立した会社の代表取締役も務める傍ら二児の母でもあるという、まさに“三足の草鞋”を履きながら躍進している姿に迫った。

大西亜希氏

大西 亜希(おおにし あき)氏
内閣官房 情報通信技術(IT)総合戦略室 ITストラテジスト
日本大学理工学部 航空宇宙工学科卒。みずほ情報総研(株)、アビームコンサルティング(株)を経て、2011年にヴェールコンサルティングを設立、2016年に法人化。これまでに大企業から中堅・中小企業まで、100社以上のITコンサルティング・業務改革コンサルティングに従事。施策の提言に加え、組織の個性に合わせた仕組みの具現化、経営層や現場の自主性を最大限に引き出すプロジェクト推進を得意としている。2021年4月よりITストラテジストとして内閣官房IT総合戦略室に非常勤職員で勤務、府省内の業務改革プロジェクトに参画している。

育休明けを機にデジタル庁で挑戦

 7月6日から第四回公募がはじまっている中で、第一回公募を通してデジタル庁初の民間人材となった入庁者は、約3ヵ月目を迎えている。「私も第一回公募で入庁し、府省内の業務改革プロジェクトにおいてBPR(Business Process Re-engineering)[※1]を推し進めています」と語るのは、デジタル庁でITストラテジストを務める大西亜希氏だ。

 大学卒業後にみずほ情報総研、アビームコンサルティングでITコンサルタントを10年間務めると、中小企業診断士の資格を取得し独立。現在は、50~1,000人規模の中堅企業を主に、RFP(提案依頼書)の作成はもちろん、個社ごとのグランドデザインを描くことで経営と業務とIT、それぞれの橋渡し役を担っている。

 そんな同氏がデジタル庁の人材公募へ応募しようと考え始めたのは、平井デジタル改革担当大臣が出演していた報道番組にて、デジタル庁の第一回の公募を知ったことがきっかけだった。2人目の出産に際して育児休暇を取得していたタイミングでもあり、休暇明けから新しいチャレンジをしたいと考えていた大西氏にとっては、興味を惹かれたという。

 また大西氏は、コロナ禍で既存の行政システムを変えた方が良いと感じた部分もあったとして、「個人として、そして法人としても新型コロナウイルス感染症に関わる補助金や給付金を申請していました。また、地域の病院がコロナ陽性者について保健所に連絡を行うシステムの入力項目が膨大であること、それを嫌ってFAXにて連絡することが常態化していることなどを報道で見聞きし、民間の感覚からすると考えられないシステムや業務フローが存在していることを感じました」と振り返る。

 現状業務の課題抽出や課題解決策をデジタルに落とし込むスキルなどを武器にITコンサルタントとして活躍する中で、同氏は“現場の人が生き生きと働ける”ことを大切にしている。そのため、今回の入庁でもその信念を持ち続け、各府省でも実現したい思いは変わらないという。

 [※1]「業務本来の目的に向かって既存の組織や制度を抜本的に見直し、プロセスの視点で、職務、業務フロー、管理機構、情報システムをデザインしなおすこと」(出典:野村総合研究所、用語解説「BPR」)

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この記事の著者

岡本 拓也(編集部)(オカモト タクヤ)

1993年福岡県生まれ。京都外国語大学イタリア語学科卒業。ニュースサイトの編集、システム開発、ライターなどを経験し、2020年株式会社翔泳社に入社。ITリーダー向け専門メディア『EnterpriseZine』の編集・企画・運営に携わる。2023年4月、EnterpriseZine編集長就任。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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