マーケティング組織とCMOの役割は?
具体的なグローバルなB2Bのマーケティング組織を見ていきましょう。グローバル企業のCMOがマネジメントするマーケティング組織は、以下の機能を持ちます。一方でCMOも、C(Chief)が付くように、CEOにレポートしています。
- ブランド:ブランド認知を高める広告、ソーシャルメディアマーケティング、アセットの整合性をとる。企業レベルのイベントの企画運営を行う。
- コミュニケーション:業界アナリスト、および、プレスやジェーナリストとコミュニーションをもつ。いわゆるAR、PRグループ。会社によっては、コミュニティのインフルエンサーも対象に含む。
- オペレーション:マーケティング関係の各種オペレーションを確立。多くの企業で、MarketoやSalesforceが導入されており、そのデータのメンテナンスも行う。仮想イベントなどの新しいツールの導入の企画も行う。
- フィールドマーケティング:地域ごと、または、製品ごとに組織され、営業に案件創出の支援をキャンペーンの実施で行う。ビジネスモデルによって、パートナーとの共同パーケティングや顧客維持のためのマーケティングの実施。
- プロダクトマーケティング:プロダクトやソリューション、ビジネスによっては業種に関連するコアメッセージやアセットを作成。また、GTM戦略策定に深くかかわる。
私自身は多くの場合、フィールドマーケティングに所属してきました。近年、グローバル企業では、もっとも優先順位を高くしているところで、ここでマーケティング投資に対するROIが図れます。金を使うなら、売上で結果を出せということです。おそらく、広告や宣伝を主にする日本のマーケティング組織と大きく違うところは、この機能だと思います。
HR Transformationの現場を人事面でサポートするHR Business Partnerに考え方が近いです。人事も、マーケティングも以前はバックオフィスに属していた組織は、現場をサポートする組織に変貌してきているのです。そして、その戦略はとても合理的だと思います。
日本においては、フィールドマーケティングは、まったくこの機能をもたなかったり、営業組織の下にあったりする企業が、ほとんどかと思います。私は大手企業とも共同マーケティングなどを実施しますが、その機能をもつ企業と仕事をしたことがありません。
かのドラッカー先生は、「企業の目的が顧客の創造であることから、企業には2つの基本的な機能が存在することになる。すなわち、マーケティングとイノベーションである」と述べています。そこからすいぶん変異してきましたが、近年では、企業活動を後方ではなく、前方で支援する組織に変化してきていると思います。
さて、日本のマーケティング組織はどこにいくのでしょうか?