これは、グローバルの広告代理店のランキングです[※1]。これを見て、違和感を覚える方が多いかと思います。アクセンチュア、デロイト、IBM、PwC。しかも、電通よりアクセンチュアの市場シェアの方が大きいのです。広告業界の世界で、いったい何が起きているのでしょう。
・1位 WPP 3.73%
・2位 オムニコム・グループ 2.93%
・3位 ピュブリシス・グループ 2.59%
・4位 アクセンチュア 1.98%
・5位 電通 1.96%
・6位 インターパブリック・グループ 1.80%
・7位 デロイトデジタル 1.76%
・8位 IBM ix 1.24%
・9位 PWCデジタルサービシーズ 0.96%
・10位 藍色光標伝播集団 0.94%
・11位 博報堂DY 0.69%
・12位 ジーセードコー 0.61%
・13位 ハバス 0.53%
・14位 ラマー・アドバータイジング 0.36%
・15位 MDCパートナーズ 0.27%
このようなコンサルティングやデジタルの部門をもつ我々に近しい企業はここ数年、積極的に広告代理店を買収し、今や広告代理店の顔をもつようになりました。日本では、皆さんの想像どおり、電通、博報堂、サイバーエージェント、ADKホールディングス、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(DAC)がトップ5になっています。インターネット系の広告会社の2社が入っているのは、時代の流れです。
何年か前に、アクセンチュア デジタルの方とその話をしたとき、デジタルマーケティングを支援するだけではなく、最近は、クライアント向けの広告まで手掛けているとおっしゃっていました。なぜなら、マーケティングメッセージは、企業の戦略やメッセージを表現したものであり、経営に近い会社がマーケティングを手掛ける需要が高まっているからとのことでした。また、フィジカルからデジタルにマーケティングがシフトして、デジタルやデータに強いこれらの企業が台頭しているという理由もあります。私も普段、Googleの広告も含め、デジタルに囲まれて仕事しています。DXと同様に、デジタルとビジネストランフォーメションの流れが広告代理店の市場の変化に見えます。
私が関係するGTM(Go To Market)戦略も、まずは全体のビジネス戦略があり、ターゲットの業種、企業、部門、役職を決めて、社内のリソースを配分し、顧客向けのメッセージを決めます。そして、そのメッセージは、営業には営業資料と顧客攻略方法の教育、マーケティングにはキャンペーンアセットとして降りてきます。これによって、会社戦略の整合性を取りながら、マーケティングと営業が連携できるのです。マーケティングだけ独立することはなく、企業戦略の一部に自動的に組み込まれています。
広告代理店の状況は、その市場の鏡みたいなもので、GTM戦略の一部であれば、戦略系のコンサルティング会社が重要な役割を演じます。一方、日本のマーケティング組織は、広報・宣伝から始まった歴史があり、まだ、そこから抜け切れていないような気がします。そのような名前の雑誌もあります。状況は、以前、述べたHCMが浸透しない理由(なぜか日本では盛り上がらないHCM IT部門も人事のトランスフォーメーションは他人事ではない)とかなり近いです。戦略、組織の問題に起因していると思います。