企業や技術買収などの動きは、コロナ禍でもあまり変わっていない。先日も独立系アナリティクス・ソリューションベンダーの老舗SASが、ブロードコムから買収交渉を受けているとの報道があった。SASは非上場企業で、米国ノースカロライナ州にある本社一帯はキャンパスと呼ばれ、病院や体育館、理髪店など生活に必要なさまざまな施設があり、そこで働く人たちも全てSASの正社員だ。アットホームな同社の社風は、働きやすい会社として内外から評価を受けている。
一方ブロードコムは、ここ最近はCAやシマンテックのエンタープライズ向け製品など、積極的な買収戦略を展開している。残念ながらCAの買収は平和裏には進まなかったようで、結果的に国内市場における顧客の離脱も起きているようだ。そのため買収された暁には、SASの日本におけるビジネスも少しネガティブなものになるのではと懸念していた。結果的にはSASの創業者らが考え直し、この買収話はなくなったようだ。アフターコロナの世界では市場環境が大きく変化しており、勝ち組、負け組の様相も変わるだろう。今後は、思いもよらない買収劇が起こるかもしれない。
InforはEAMを切り離してERPコアに注力する
業界特化型のクラウドERPスイート製品を提供するInforは、2021年7月7日、グローバルEAM(設備資産管理)事業を、Hexagon社に売却すると発表した。Hexagonはセンサー、ソフトウェア、自律型技術を組み合わせたデジタル・リアリティ・ソリューションのグローバル企業だ。EAM事業の売却に合わせ、InforはHexagon社と戦略的な協業関係を築くことも表明している。
Inforの最高技術責任者兼製品担当プレジデント(CTO)のソマ・ソマスンダラム氏は、InforはEAMについては手放し業界特化型のクラウドERPスイートのコア部分に注力することにしたと言う。EAM関連のソリューションは、ここ最近APM(アセットパフォーマンス管理)の領域に拡大している。しかしInforのEAMは、APM領域まではカバーしていない。一方HexagonにはEAMはないがAPMがあり、Infor EAMと一緒になることで市場の要求に幅広く応えられるようになる。