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変貌するERP市場とM&A最前線 ――Inforの事業売却とHexagonとの協業で浮上するKoch

edited by DB Online   2021/07/21 08:00

売却後のHexagonとInforのパートナー戦略とは

 売却後にHexagonとは「強力なパートナーシップを組むことになります」とソマスンダラム氏。HexagonからはEAMとAPMを、InforからはERPとBIのソリューションを提供することで、顧客に大きな価値を提供できると自信を見せる。このパートナーシップを演出しているのが、Inforの親会社にあたるKoch Industriesだ。今回の買収取り引きの結果、Koch IndustriesはHexagonの株主となり、同じく子会社のKoch Equity Developmentの社長であるブレット・ワトソン氏がHexagonの取締役会に参画する予定だ。

 今後はInforだけでサポートするのではなく、顧客の要求に応じHexagonと協業して取り組む。たとえばインダストリー4.0では、製造トポロジーの最適化(設計する空間に材料などを最適に配置する)のために業界固有の機能を備えた上で自動化を実現すること、強力で安全なAPIゲートウェイと豊富なAPIライブラリの提供により工場などで稼働するロボットを制御すること、さらに業務システムのデータをほぼリアルタイムで統合しデータをAIや機械学習で処理して分析結果をトリガーとした製造プロセスの自動化を実現すること、そして共通のデータストアにマシン・データを格納することで機器の稼働状態を管理することの実現が挙げられる。これらは、InforのERPソリューションでカバーできるものだ。

 一方、設備のパフォーマンス管理やメンテナンス、サービスクルー、スペア部品、プロセス管理の実現もあり、これらはHexagonのAPMと新たに取得したEAMでサポートできる。そのためインダストリー4.0の実現のために、これら全てが必要な企業にはInforとHexagonが手を組みサポートすることになるのだ。

 Inforのアプリケーション群は、もともと疎結合のアーキテクチャで統合化されている。そのためEMAだけを切り出し売却でき、売却後もEAMをInforのERPなどと連携させるのは容易だ。「Inforのアプリケーション群はAPIとデータを使い疎結合の形でつながっています。これを実現するために、REST APIの豊富なライブラリも用意しています。それらを使い、アプリケーションのデータをニアリアルタイムにデータレイクに渡すことができます」とソマスンダラム氏、疎結合でも密接な連携ができると言う。

 Inforは、業界特化型ERPとして評価が高い。とはいえ、CRMやサービスなど汎用的なアプリケーション領域全てをカバーできるわけではない。そのためCRMのSalesforce.comやサービスのServiceNowなどとは、もともとオープンコネクタを使い密な連携を実現してきた。この実績があるので、EAMが外に切り出されても連携することに何ら問題はない。「オープンコネクティブでさまざまなアプリケーションと連携でき、顧客は自由な選択ができます。これはSaaSをエコシステムの形で提供するものでもあり、SAPやOracleにはできないアプローチです」とソマスンダラム氏は言う。


著者プロフィール

  • 谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

    EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーター かつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリストとして、クラウド、データベース、ビッグデータ活用などをキーワードに、エンタープライズIT関連の取材、執筆を行っている。

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連載:週刊DBオンライン 谷川耕一

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