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技術課題の根本的解決にはビジネスの理解が必要 CTO/エンジニアに求められる資質とは 【第3回】Relic 大庭亮氏

  2021/08/24 08:00

 デジタル化やDX推進の動きが加速し、それを支えるエンジニアをはじめとした専門人材のニーズは高まっている。その状況下で、従来よりも幅広い役割が期待されているのがCTOだ。単純にテックリードとして社内の技術面を統括、けん引するだけでなく、より経営にもコミットすることが求められるケースも少なくない。今回は、Relic 取締役CTOとして活躍する大庭亮氏を訪ね、これまでの歩みからエンジニアやCTOに求められる資質などを伺った。

大庭 亮氏

大庭 亮(おおば りょう)氏
Relic 取締役CTO プロダクトイノベーション事業本部長
奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科に在学中、産業技術総合研究所の技術研修生としてロボット工学の研究やロボット開発に従事した後、DeNAに入社。エンジニアとして主にEC事業領域の新規事業・新規サービスや大手小売業との協働事業であるECサイトやショッピングモールの開発・運用の責任者としてリード。その後、100万人以上のユーザーが利用するスマートフォンアプリの開発や新規事業の開発リーダーを経験。インフラを含め、全体のアーキテクチャの設計〜実装まで、幅広い領域を得意とする。2015年より複数のスタートアップのサービス開発や運用支援、及び技術アドバイザリーに従事した後、2016年、株式会社Relicに参画し、取締役CTOに就任。一般社団法人日本CTO協会正会員。多数の企業の技術アドバイザリーや講演・執筆なども手掛ける。

エンジニアとしてのルーツは、ロボット工学

 コロナ禍におけるDXの文脈の中で、データドリブンやサイバーセキュリティ経営などの実現に向けて舵を切っている企業も少なくない。そうでなくてもITは事業継続に欠かせないものになっており、技術者の存在価値は増していく一方である。その中でも、とりわけ担うべき責務と領域が拡大している役職こそがCTOだ。技術に関する造詣はもちろん、DX推進の中では経営層とも積極的に手を結び、事業をけん引していく必要性も増している。

 今回訪ねたRelic 取締役CTOを務めている大庭亮氏は、ディー・エヌ・エー(以下、DeNA)で新規事業立ち上げに携わってきた経験を持ち、創業間もないRelicに参画した。一見すると学生時代からWebやソフトウェア開発のエンジニアを志望していたように思えるが、意外にもそのルーツはロボット工学にあると明かしてくれた。

 大庭氏がロボット工学の道を歩み始めるきっかけが、高校時代に所属していた部活動だという。そこで、ロボット相撲などを通して面白さと同時に、思うように動かしたりすることの難しさを経験。そこで大学ではロボット工学を専攻すると、プログラミングや情報工学の面白さに目覚め、奈良先端科学技術大学院大学の情報科学研究科に進学した。

 このとき、産業技術総合研究所の技術研修生としてロボット工学の研究や開発に従事することになり、元々興味をもっていたロボットハンドを中心に設計やシミュレーションに打ち込んでいた。当然、就職先に関してもロボットメーカーや産業用ロボットを扱っているような大手企業を見据えており、研究室から推薦の話も挙がっていたという。

 当時のことを大庭氏は、「いわゆるエスタブリッシュメント企業を中心に面接等を受けていたのですが、将来の見通しが良すぎることに違和感を覚えました。30代でポジションや役職が付き、年収はこのくらいでという話を聞いたときに、素直におもしろそうではないなと思ったのです。そんなところに先輩から『DeNAを受けてみたら?』といわれて話を聞きに行くと、今まで受けてきた企業とカルチャーがまったく異なるだけでなく、若手の人が色々なことにチャレンジしていました。また、工学系の学生以外も多く受けているなど、純粋にワクワクしましたね」と振り返る。

 他にも、当時ハマっていた「マインクラフト」というゲームのパブリックサーバーをデプロイして公開したとき、常時数十人が接続して利用してくれたことに、サービスを作って使ってもらうことの面白さを感じたという。これは、これまで同氏が取り組んできたロボットを人前で披露したときに、多くの人が楽しんで見てくれた経験と通ずるところがあると大庭氏は語る。

 「実際に内定をいただきDeNAに就職する旨を当時の先生に伝えたら、なんでゲーム屋にいくのだと残念がられたことを覚えています(笑)。今でこそ認識は変わっていると思いますが、当時はまだネガティブに捉えられていましたね」(大庭氏)

 DeNAに入社後は、エンジニアとしての研修を経てEC事業部に配属されると、オンプレミス環境下でWebサーバーの構築に従事。その後、大手ドラッグストアのECサイトのシステム構築を任されるようになると、ビジネス部門のメンバーと共同で開発戦略などを策定するように。こうした経験を通して、事業を作っていくというスタンスやマインドを養い、エンジニアとして指示通りにシステムなどを作るという姿勢から変わっていったという。

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