MAツールの導入が進んだことを機に、日本企業でも顧客とのコミュニケーションでは「データが重要」という認識が定着した。一方で、私たちの日常生活を振り返ると頓珍漢なメッセージを受け取ることも少なくない。残念な体験を提供しないですむには何をすべきなのか。今、世界のトップブランドが注目するBrazeの日本法人の責任者2人に訊いた。
2017年のリブランド後に急成長したBraze

――最初にBrazeという会社の設立経緯から紹介していただけますか。
菊地:2011年にBill MagnusonとJon Hymanの2人の創業者がニューヨークで創業した会社で、「消費者とブランドを持つ企業との間に、人間としての情味に富んだコミュニケーションを築くこと」をミッションに掲げています。創業時の名前はAppboyで、最初はモバイルアプリでのコミュニケーションだけに焦点を当てていましたが、その後「消費者のデジタルシフト」というトレンドが鮮明になってきました。それを機に2017年に製品の方向性をオムニチャネルに改め、同時にBrazeにリブランドして今に至ります。
――その2017年のリブランドでBrazeという名前に込めた意図は何だったのでしょうか。
菊地:Brazeという言葉は英語で「ろう接(金属同士を接合する溶接技法の一つ)」のことです。コーポレートカラーの虹色は、金属が接合するときに生み出されるときに現れる色を表現しています。テクノロジーを重視している企業ですが、社名には消費者とブランド間を強く結び付けるという意味を込めたと聞いています。2017年当時の米国は「PV至上主義」の全盛期で、何らかの形で接点を持ったお客様にはとにかく広告を送ってコンバージョンにつなげる。それがマーケターの仕事でした。当たり前ですが、そんなことをすればするほどお客様に嫌われてしまう。もっとお客様本位での人と人とのつながりを作りたい。ブランドからの一方的なコミュニケーションではない「新しいコミュニケーションに進化させたい」という創業者2人の思いがありました。
――日本法人設立は2020年11月とのことですが、どんな企業がBrazeを使っていますか。
菊地:全世界で1,000社以上がBrazeを使っていて、そのほとんどがダイレクトにお客様とコミュニケーションを行わなくてはならないブランドを抱える企業です。日本ではメルカリ、楽天、NewsPicks、ソニー、オムロンなどがBrazeを使い始めています。日本市場に進出して間もない会社ですが、米本社も驚くほどのペースで日本でのビジネスは成長しています。

この記事は参考になりましたか?
- この記事の著者
-
冨永 裕子(トミナガ ユウコ)
IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア