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変化する情報活用ニーズ、進化しないデータウェアハウス

情報系システムが支えるスピード経営

第1回

IT投資のポートフォリオ

 現在、企業内のビジネスプロセスの多くがITによって自動化されています。そこで、「データ収集、意思決定、実行」のプロセスをITがどのように支援してきたかを考えてみます。

 IT投資には次の通り、3種類のポートフォリオがあります。

1. 業務系

 既存の業務プロセスをITにより自動化する。業務の効率化、正確性・スピードの向上、コストダウンを目的として構築されます。いわゆる基幹系・勘定系システムと呼ばれる経理・財務、販売管理、生産管理などがこれに相当します。これらはすべて、従来は手作業で行われていた業務を自動化したものです。

2. 戦略系

 新しいプロセスをITによって実現します。他社に先駆けたビジネスプロセスの構築やサービスの提供によって、市場における差別化、売上増加を狙って構築されます。オンラインの株式売買や、古くは銀行のATMなどもこれにあたります。このシステムは、新しいITサービス開始当初は先行者利益を享受することができますが、時間の経過と伴に他社も同様のサービスを提供するようになった時点で戦略性は無くなり、業務系システムへと位置づけを変えていきます。業務系に比べ、期待した効果を得ることが出来る確率は格段に低くなり、また、成功した場合でも戦略性を維持できる期間は長くても2年程度です。

3. 情報系

 社内に存在するデータ、外部から入手するデータを分析し、意思決定を支援します。経営情報システム、社内情報共有ポータル、店舗売上分析システム、ビジネスインテリジェンスなどがこれにあたります。主に業務系、戦略系システムで生成されたデータを分析し、レポートを提供する仕組です。

 「データ収集」においては、業務系・戦略系システムがデータを生成し、情報系システムがそれらのデータを常に検索可能な状態に保ちます。そして、情報系システムが提供する情報が「意思決定」を支援し、業務系・戦略系システムが「実行」の部分を担います。

IT投資のポートフォリオ
IT投資のポートフォリオ

業務系と情報系では異なるアプローチが必要

 ここで注意しなければならないことは、業務系・戦略系システムと、情報系システムは、価値を生み出すプロセスにおいて性質が異なる、ということです。業務系・戦略系の場合、自動化すべきプロセスがあり、構築したシステムをユーザが指示通りに使うだけでシステムの価値を得ることが出来ます。システム構築論から言えば、業務系も戦略系も同じです。

 しかし、情報系の場合、システムは情報を提供しますが、その価値が生み出されるのは、ユーザがその情報を参考にして的確な意思決定ができた場合です。つまり、業務系・戦略系はそれだけで価値があるのに対し、情報系はそれだけでは価値を生まないということです。また、システムとユーザの関係を考えると、業務系・戦略系では、ユーザはシステムが指定するオペレーションを行うことになりますので、ユーザが仕事のスタイルをシステムに合わせます。しかし、情報系は、ユーザが自分の仕事のスタイルの中で提供された情報を使うわけですから、本来は、システムがユーザの思考パターンや能力に合わせていかなければなりません。

 例えば情報系システムが、個々の顧客の属性や購買履歴を分析し、これまでより詳細な顧客セグメンテーションを実現したとします。マーケティング部門はそのセグメンテーションに従い、販促キャンペーンを打ちます。しかし、このキャンペーンが不発に終われば、この分析は価値があるとは言えません。マーケティング担当者は別の方法を考えるために、異なる切り口の分析を要求します。情報系システムはこの要求に応えられなければなりません。キャンペーンが成功するまで永遠に、です。そして、あるキャンペーンが成功して初めて、そのシステムは価値を生み出すわけです。

次のページ
欲しいレポートを出せばそれで良かったこれまでの情報システム

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この記事の著者

サイベース 冨樫 明(サイベース トガシ アキラ)

サイベース株式会社 マーケティング本部 本部長。日系大手コンピュータメーカーで21年間海外ビジネスに携わった後、ベリタスソフトウェア、シマンテックでマーケティングに従事し、2006年より現職。著書に「内部統制今知りたい50の疑問―米国での実践経験から」がある。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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