年15%で増加、増えるサイバー犯罪
1939年にシリコンバレーで誕生したHewlett-Packardを前身とするHPEは、企業向けにサーバーやストレージなどのシステムを提供するベンダーだ。
コンピューティングトレンドの変遷を受け、グローバルレベルでは、データから洞察を得る「洞察の時代」、エッジからクラウドまでシームレスにデータを利活用するための横断的なプラットフォーム「Edge to Cloud Platform」、プラットフォーム全体でサービスとして提供する「as-a-serviceカンパニー化の実現」と3つの方向で戦略を進めている。
この方向性を踏まえ、日本では「顧客のチャレンジを支えるDXプラットフォームの提供を目指しています」と橘氏は説明する。そこで、「5G/IoT」「デジタル・ワークプレイス」「データマネジメントとAI」「ハイブリッド・クラウド」と4領域をカバーする全社横断的なタスクチームを発足させた。セキュリティの観点から見ると、「IoT/OTセキュリティ」「ゼロトラスト・セキュリティ」「Edge to Cloudセキュリティ」の3つに分類できる。「どの領域にとっても、セキュリティは重要です」と橘氏は説明する。
HPEがこのようにセキュリティを重視する背景にあるのは、ランサムウェアなどサイバー犯罪や攻撃の増加だ。「今後5年でサイバー犯罪は年率15%で増加し、サイバー犯罪の被害額は2025年までに年10.5兆ドルになると予想されています。また、ランサムウェアによる経済的損失は2021年に200億ドルを超えるなど深刻化しているのです」(橘氏)。
セキュリティの取り組みとしてHPEは、NIST(米国国立標準技術研究所)のセキュリティガイドライン策定に参画している。製品側では、2017年より「HPE Silicon Root of Trust」としてハードウェアセキュリティの機構をサーバーに標準搭載してきた。橘氏によると、ハードウェアセキュリティ機構を標準搭載するというのは業界初という。