企業のICT投資の最適化が求められる今、クラウドコンピューティングが注目されている。しかし、企業の生命線ともいえるITリソースを外部に依存する以上、そこで求められるサービスレベルはシビアだ。 京セラコミュニケーションシステムでは、東京と京都に設置したデータセンターを中核に、セキュリティやID管理などの豊富なサービスを提供してきた。同社の考えるクラウドコンピューティングの方向性、課題と解決策などについて話を伺った。
ICT投資の最適化で注目のクラウドコンピューティング
グローバルな競争が激化し、市場が多様に変化する時代にビジネスを発展させていくためには、ICTの戦略的活用がポイントになる。
一方、昨今の世界的な経済の混迷もあり、企業に対するICT投資を含めたコスト最適化の要求は高まるばかりだ。
そこでICTインフラについても、すべての資産を自社で持つのではなく、必要なITリソースをサービスとして活用する「所有」から「利用」へ向かう流れが顕著になってきた。そこで注目されているのがクラウドコンピューティングだ。
現在では情報系システムだけでなく、ERPやSFAなど基幹業務系システムもクラウド(雲)の中でサービスとして提供されるようになってきている。
ただ、エンタープライズ市場におけるICT基盤のアウトソーシングにおいて求められるサービスレベルはシビアである。
京セラコミュニケーションシステム(以下KCCS)の松木憲一氏は「クラウドの中身が可視化されていない状態での外部委託は深刻な経営リスクになりかねない」と指摘する。
1986年に京セラの社内ベンチャーとして発足し、1995年に分離独立したKCCSは、これまで「ICT」、「通信エンジニアリング」、「経営コンサルティング」の3つの事業フィールドでグループ各社のシナジーを創造してきた。京セラの情報システム構築を担ってきたノウハウをベースに、顧客の立場で課題解決を模索してきたことで、クラウドコンピューティングにおいても充実したサービスを提供可能にしている(図1)。