レガシーシステムのクラウド移行からコンテナ化まで
日立では、データを活用して新たなビジネスを迅速に実現するために「Lumada」というDXソリューションを展開している。これは顧客、パートナーとともにエコシステムを形成することで、新たな価値を創出するデジタルイノベーションを加速するものだ。このLumadaの中では、DXを加速させるためのプラットフォームも提供する。
このプラットフォームで、DX実現に向けてレガシーシステムなどをモダナイズするのだ。そのためにシステムのコンテナ化を段階的に目指すことになる。とはいえ、変更ニーズの多いシステム、段階的にスケールアウトや機能追加するシステムはコンテナ化に向くが、ほとんど変わらないシステムやビッグバン的な進め方が適しているようなシステムはコンテナ化には向かない。企業はどのシステムをどのようにクラウド化、コンテナ化するのかをしっかりと見極める必要がある。
クラウドジャーニーの具現化にあたり日立では、現状整理、アセスメント、計画策定を行う「Plan」、実際にシステムのクラウドリフト&シフト、クラウドネイティブ化を行う「Move & Build」、システム全体最適化と運用最適化、自動化を実現する「Manage」の3つのフェーズに分けアプローチする。それぞれのフェーズの実績、ノウハウを基にクラウド移行アセスメント、クラウド環境構築・移行支援、ITモダナイズ支援、マルチクラウド運用、IT運用最適化、コストガバナンス、さらにフェーズをまたがってクラウドコンサルティングや内製化支援、統合クラウドセキュリティというサービスを提供するなど体系化されている。
Planフェーズの「クラウド移行アセスメントサービス」は、クラウドジャーニーについて何から考えれば良いのかが明確ではないような企業に、移行性、運用性、信頼性といった顧客ニーズに合わせ、クラウド移行後のシステム構成案を複数提示し選択できるようにしている。「日立ではガートナーが提唱する5Rに、Retire(破棄)、Replace(刷新)の2つのRを加え移行パターンを定義しています。顧客のドキュメントやヒアリング、日立の移行アセスメントツールのナレッジなどを活用し、どの移行パターンが適切かを提案します」と山崎氏。特長は移行だけでなく、その先のコンテナ化まで考慮し顧客が選べるようにしていることだ。移行先のクラウドはAWS、Microsoft Azureはもちろん、日立のクラウドであるエンタープライズクラウドサービスG2にも対応する。
またMove & Buildフェーズの「プラットフォーム向けモダナイゼーション支援サービス」では、顧客企業の業務アプリケーションをコンテナ化するために必要な構成設計、実装、テストを実施。標準化されたテンプレートを活用し、短期間で運用プロセスを考慮しコンテナ化する。具体的には、顧客のVMイメージのアプリケーションを分割してコンテナイメージを作成し、必要なドキュメントや検証結果の報告書まで提供する。また、VMware Tanzuに適した構成設計や実装も可能だ。さらに、コンテナ化に加えてCI/CD環境も同時に整備し、アプリケーションリリースサイクルの短縮化も可能となっている。
もうひとつの「コンテナ環境構築・運用サービス」では、様々なクラウド上に管理機能を含んだコンテナ実行基盤を構築し提供。蓄積されたノウハウを基に標準化されたコンテナ管理基盤を短期間で導入可能であり、監視やバックアップなど運用関連のシステムもあわせて提供できる。「レディ・メイド型で、迅速にコンテナ管理基盤を提供します。もちろん要望に合わせてカスタマイズもできます」と山崎氏は説明する。本番環境で求められる安定した稼働、さらに日立の運用自動化ツールも活用も可能で、Amazon EKSやAzure Kubernetes Serviceなどのマネージドサービス、TanzuやOpenShiftなど様々なプラットフォームを選択できる。
さらに「クラウドネイティブ環境 監視・運用支援サービス」では、マイクロサービスに適した監視技術を用い、業務視点での監視・分析を実現。マイクロサービスに適した監視運用サービスでプライベートクラウド、パブリッククラウド、仮想化、コンテナが混在する環境の監視が可能だという。それぞれの環境のデータを取得し、ダッシュボードで一元的に監視できる。その上で「ビジネスの要件に応じて何を監視すべきかが決まるので、監視内容の検討からサポートすることができるサービスになっています」と山崎氏は述べる。