デジタル通貨フォーラムにおいて、小売り・流通分科会は小売企業とそのパートナー企業(メーカー・卸売)間での取引にともなう決済業務に、デジタル通貨DCJPY(仮称)を活用する実証実験を6月9日より開始すると発表した。
本実証実験を通じて企業間での受発注から支払いまでの一連の商取引に、ブロックチェーンを使ってデータの真正性を担保しながらシステム上で完結し、サプライチェーンに関わる業務の効率化、高度化に向けた効果検証を行うとのことだ。
実証実験の実施企業には日立製作所やインテック、ツルハホールディングスなどが参加する。
小売流通業界では、メーカーや卸売との商取引において、発注書、納品書、請求書などを企業間で電子的に交換するEDIが普及する一方、受発注システムは企業ごとに存在する。請求書の確認や支払いにかかる事務処理は人力であることから、担当者の負担になっているという。
そこで今回の実証実験では、小売・卸売の企業間における流通BMS(EDIサービス)を用いた商取引において、受発注から支払いまで一連の流れをデジタルで完結する。これにより、主に商品受領後の資金決済業務における効率化の検証を行う。
具体的には、書類の照合・確認などの作業に対し、EDIとブロックチェーンを連携した環境上で、全ての取引データの真正性を担保。その上でデータを共有し、デジタル通貨を使って決済・送金を自動化することで、一連の流れをデジタルで完結させる。
本実証実験では、商取引のデジタル完結による業務効率の効果も定量的に検証する。連携環境を構築・活用する上での技術的な知見を蓄積することが狙いだ。また、商流から金流への流れを自動化するデジタル通貨の有用性の確認や、その基本機能の検証、技術的課題の整理なども行うとしている。
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