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大転職時代に求められる「働きがいのある職場」とは? 常連企業のSASでの経験を共有します!

edited by DB Online   2022/06/17 10:00

働きがいのフレームワーク

 1つ例を挙げます。私が働いているインフォアは、ニュージーランドの最強ラグビーチームであるクルセイダースにスポンサーしています。私が敬愛するダン・カーター選手が所属していたチームです。クルセイダースのチームとは、一緒に仕事する機会があり、その組織の文化について学びました。そのコアの価値観は、For Each Otherです。お互いのために。うーん、ラグビーチームぽい!

 そして、そのコアの価値観の周りに、つながり(喜びの共有、理解の共有、相互信頼、インクルージョン)、レジリエンス(ハードワークとレジリエンス、揺るぎない尽力、向上心)、善良な人間(尊重、献身)アイデンティティ(自分に忠実、表現、楽しむ)があります。揺るぎない尽力って、なんか好きです。

 そして、このチームは、オールブラックスのハカで有名なマオリ族の価値観やリーダーシップを継承していると聞きました。組織にとって、歴史も貴重です。 話は戻りますが、「働きがいのある会社」プロジェクトを担当した当時は、認定やランキングのための評価は、従業員の評価が2/3、会社の取り組みが1/3で行われていました。従業員は、信用、公正、連帯感、誇り、尊重をアンケートで評価して、会社の価値観、リーダーシップの有効性、イノベーション、財務的な成長については、会社が評価されます。どちらも大事ですね。

 会社の取り組みについは、今ではホームページで公開されていませんが、当時はこのマネジメントからみた「働きがいのある会社」のフレームワークに乗っ取って、取り組みを強化しました。これがなかなか良くできたフレームで、1)ひとつのチームや家族のように働く、2)組織目標を達成する、3)個人の能力を発揮する、と3つの柱があります。それぞれに、「祝う、分かち合う、触発する」、「語りかける、傾聴する」、「感謝する、育成する、配慮する」の3つの分野があり、計9つで構成されています。すべてが動詞になっているのがポイント、つまり行動を伴うということですね。

 会社は、この9つの分野で、社員向けの施策を強化していくのです。たとえば、「分かち合う」では「夏休み 親子でデータサイエンス」を企画・実施して、SAS Instituteがもつデータサイエンスの知識を子供たちに分かち合いました。これについては、以前の記事(「BABYMETALという「シン結合」からイノベーションを考える」)で紹介しました。「感謝する」では、感謝ボックスを作成して、社員の間で感謝カードを送り合う環境を作りました。冒頭でマッキンゼーの調査を紹介したように、感謝が鍵かもしれません。「祝う」は、本人や配偶者の誕生日に特別休暇が取れる制度が元々ありましたので、それを継承しています。

 これは、働きがいのある会社をつくるフレームワークともいえます。 最近では多くのグローバル企業が、古くからパルス(Pulse)サーベイというのを取り入れています。従業員の脈拍がきちんと鼓動しているかを調査するので、パルスです。マイクロソフト、シスコシステムズにいたときは、年に一度、従業員全体のサーベイが実施され、リーダーシップチーム、所属する組織、上司などの質問に答え、ある人数以上のマネージャは点数が見えるようになっています。これは、マネージャーによってはかなり胃の痛いもので、点数が悪ければ改善が求められ、改善されないとマネージャーから外されることもあります。年に一度は、マネージャや会社を部下が採点できるのです。

 Workdayに在籍していた時は、さすがにHCMの会社だったので、毎週金曜日に何問かの質問に答え、四半期ごとに累積した結果をみていました。年に一度では、その途中の変化が捉えられないからです。 また、SAS Instituteで面白いなと思ったのは、勤続年数が長い社員が多いにもかかわらず、社員が様々な部門に異動していくことです。もちろんジョブ型雇用です。異動によって、社員が多様な経験やスキルを持つことができ、また、知り合いが増えることでコラボレーションが高まるのです。そういうことも職場への満足が高くなる要因かと思いました。 今話題のESGでは、S(Social)の部分で、ダイバーシティ、インクルージョン、人材育成などが必須になっています。これが無くては、投資先の企業として高い評価が得られないので、「Greatな職場」であることはその第一条件なのです。もちろんDXを推進するにしても、同様です。つまりは「人財」なのです。



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著者プロフィール

  • 北川裕康(キタガワヒロヤス)

    クラウドERPベンダーのインフォア(Infor)のマーケティング本部長。33年以上にわたりB2BのITビジネスにかかわり、マイクロソフト、シスコシステムズ、SAS Institute、Workdayなどのグローバル企業で、マーケティング、戦略&オペレーションを担当。その以前は富士通とDECでソフトウェア技術者。マーケティング、テクノロジー、ビジネス戦略、人材育成に興味をもち、日々格闘中。

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