辞めたくなる会社、働きがいのある会社の特色は?
マッキンゼーの調査「‘Great Attrition’ or ‘Great Attraction’? The choice is yours」によると、従業員が辞める会社の多くに「辞めたくなる理由を理解しないで、金銭的な特典を提供する」傾向があるそうです。これによって、従業員は感謝の気持ちを抱くどころか、取引をしているように感じるのだそうです。従業員へ感謝が溢れる職場づくりが大事ですね。そうしないと、優秀なタレントが得られず、ますます辞めてしまうという事態に陥ります。
毎年、2月ぐらいになると「働きがいのある職場」のランキングが発表され、IT企業から「わが社が選ばれました」というようなプレスリリースがあります。日本の2022年版が、発表されていますので、ご興味があればご覧ください。ただ、これは選考に応募している企業の評価であり、参加していない企業は当然評価されません。
ところで、「働きがいのある職場」を英語では、「Great Place To Work」といいます。私はSAS Institute時代に、このGreat Place To Workのプロジェクトを推進していました。当時、グローバルでのSAS Instituteは、このランキングの上位の常連で、日本からも積極的に参加していました。
米国では、Great Place to Work Institute社によって、認定・ランキングされています。毎年その順位が、企業の従業員数を基準にした規模ごとに発表されています。最新の米国の「Best Companies to Work For 2021」では、同じく私の出身企業でもあるCisco Systemsが1位で、2位がSalesforce、3位がHiltonでした。あれ、SAS Instituteが10位内にいない!? もう、参加していないのかも。
同じような働きがいのある職場の認定・ランキングは他にもありますが、Great Place To Workが一番ポピュラーだと思います。日本では、「働きがいのある職場」は、「株式会社働きがいのある会社研究所」が、同じモデルで、認定・ランキング付、企業へのコンサルティングを実施しています。
「グレートな職場」の認定モデル
ところで、私は「The good is the enemy of the Great = Goodは、Greatの敵である」という、欧米の表現にこだわります。最高の結果を出すことは、良いで満足していてはだめだと、私は解釈しています。Great Place To Workは、日本では「働きがいのある職場」と訳されていますが、本当の意味は「グレートな職場」なのです。よい職場で満足してはいけない、それを実現するために、Greatを追求する必要があるのです。有名な『ビジョナリーカンパニー2』の英語タイトルも「Good To Great」です。「Good」と「Great」は分けて考える必要がありそうです。英語の比較級も、Good、Better、Bestで、そこにGreatはありません。Greatの意味は偉大と訳されると思いますが、感動の「すげー」ってことなのだと思います。年齢がばれますが、GTO(Great Teacher Onizuka)は、すげー鬼塚先生なのです。 実際に、プロジェクトを担当して感じたのは、この「Great Place To Work」の認定のためのモデルがよく出来ているということです。
このモデルでは、「働きがいのある会社とは…マネジメントと従業員との間に『信頼』があり、一人ひとりの能力が最大限に生かされている(For All)会社のこと。優れた価値観(バリュー)やリーダーシップがあり、イノベーションを通じて財務的な成長を果たすことができる」と記載があります。人の潜在能力を最大化するために、信頼を中心に、信用、公正、連帯感、誇り、尊重の5つが見られます。いくら素晴らしい職場であったとしても、企業や個人が成長し、安定しないと意味がありません。土台となる、会社の価値観、リーダーシップの有効性、イノベーション、財務的な成長も、同時に評価されます。 会社の価値観、リーダーシップの有効性に、私はかなりの興味があり、色々な組織のものを調べています。組織の違いがここで出ると言っても過言ではないです。