
本連載はユーザー企業の情報システム担当者向けに、システム開発における様々な勘所を実際の判例を題材として解説しています。今回取り上げるテーマは「パッケージソフトやSaaS導入時における責任の所在」です。売り手と買い手、立場が異なることで責任の所在に対する見解がわかれるのはトラブルの元になりますが、今回はどういった結論になったのでしょうか。
広がるECサイトサービス利用
インターネット上の店舗(ここでは、以下「ネットショップ」と呼ぶことにします)開設を支援するサービスの広告をよく見るようになりました。特にIT/ICTに関する知見のない個人や、小規模の事業者でもネット上に簡単にお店を出せるサービス(以下、ECサイトサービスと呼ぶことにします)というのは非常に便利です。

マクロ的に見てもスタートアップやイノベーションの促進に寄与して、ひいては日本経済の活性化につながる可能性も持ったよいサービスではないかと個人的には思います。
無論、こうしたサービスは、自前でネットショップを開設することに比べて開発や運用の手間が省ける上、ネットショップ開設にあたっての様々なノウハウの提供も受けることができます。
またサービスによっては、大手のECモールへの出店も行えるようにしてくれるわけですから、個人や中小企業のみならず中堅大手の企業にとっても大いに魅力的なサービスと言えます。
ただ、ある程度の規模の企業になってくると、やはりECサイトサービスが提供する画面や機能では物足りません。そうした場合には、既存のサービスをECサイトサービス事業者側に頼んでカスタマイズしてもらうことになります。それは、自分たちの企業イメージに合った画面、自分たちの商品にマッチしたサイトの機能などを自分たち向けに作ってもらうということです。
洋服にたとえると「セミオーダー」と言えばよいでしょうか。ECサイトサービス業者が持つ基本モデルのようなサイトを、ある程度の範囲で作り変えたり機能を足したりするわけです。
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細川義洋(ホソカワヨシヒロ)
ITプロセスコンサルタント東京地方裁判所 民事調停委員 IT専門委員1964年神奈川県横浜市生まれ。立教大学経済学部経済学科卒。大学を卒業後、日本電気ソフトウェア㈱ (現 NECソリューションイノベータ㈱)にて金融業向け情報システム及びネットワークシステムの開発・運用に従事した後、2005年より20...
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