
SAPジャパンは7月13日からの3日間、国内年次イベント「SAP Sapphire Tokyo」をオンラインで開催した。イベント3日目は、テーマの1つに「支出管理のビジネスネットワークを再定義」が取り上げられ、間接材購買業務の変革事例などが展開された。この記事ではその1つ、ダイキン工業の取り組みを語った「間接材購買業務革新の実例と成果導出へのアプローチ」の講演内容からその取り組み内容を紹介する。
月次決算処理の効率化から始まった間接材購買改革

ダイキン工業(以降、ダイキン)は、空気のスペシャリストとして、空調機を中心に世界160カ国でビジネスを展開している。2022年3月期決算は過去最高の連結売上高3兆円を突破。事業環境の厳しさが増す中、迅速に二の手、三の手を打ち、計画を上回る業績を達成した。2023年3月期に向けては、原材料価格の高騰、物流コストや人件費の上昇、インフレの進展など、コスト増の材料が増えることが確実であるが、収益力を強化し、2022年度以上の業績の達成を目指す計画だ。
そのダイキンが、間接材購買業務の改革に乗り出したのは2016年に遡る。このタイミングで同社はSAP Aribaの導入を決定し、購買プロセスの改革に着手した。システムの稼働開始自体は2018年だが、2019年には総務部に間接材購買グループを設置し、以降も継続して購買業務の改革を進めてきた。ダイキン工業の総務部 間接材購買グループ長 部長 川端秀和氏は、SAP Ariba導入の目的は月次決算業務の早期化にあったと振り返る。当時は請求書のシステム登録の負荷が月末に集中し、効率的な月次決算を阻害することが問題視されていた。と言うのも、当時は紙の回覧と押印を中心に業務を回すことが当たり前だったからだ。決済者が出張や休暇で不在の場合は、どうしても処理が遅れてしまう。これをデジタル化で解決しようと考えたのがシステム導入のきっかけとなった。
しかし、システム導入にはコストがかかり、そのためだけに既存のビジネスプロセスの分析を行うのはもったいない。そこで、「既に顕在化しつつあった様々な課題も同時に解決を図ることにした」と川端氏は話す。具体的には、「社内ルールと現実の運用プロセスの不一致の改善」「下請法への対応強化」「間接業務の効率化」「間接材購買コストダウンの推進」である。これらの課題解決を伴う業務の再構築を目指し、ビジネスプロセスのコアになるシステムとしてSAP Aribaを選び、導入に着手した。
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冨永 裕子(トミナガ ユウコ)
IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...
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