SE時代の想いから「マネジメント業務のDX」に着手
富士通エフサスで19年ほどSEの仕事をしていた内田氏が、2017年に独立、起業し設立したのがインプリムだ。SEの仕事である開発などの大規模プロジェクトには、多くの人が参加する。大勢のメンバーの状況を把握し、プロジェクト全体のスケジュールや進行を管理し、トラブルなどが発生すればいち早くそれを察知し適切な対処が必要だ。
面倒で手間のかかるマネジメント業務は、多くの場合、Excelや電子メールを用いてマネージャーが手間をかけ実施している。「大きなプロジェクトだと深夜までかけて情報を集めないと、全体の進捗状況の把握もままならないことがよくあります」と内田氏は言う。この状況を解決しようと、2015年ころから内田氏がプライベートな時間を割いて開発したのがプリザンターだ。
狙いは「マネジメント業務のDX」。ここでいうマネジメント業務とは、顧客管理や案件管理、資産管理やプロジェクト管理などだ。「大きな組織ではこれら管理業務は、極めて重要です。それを快適にすることを狙い、プリザンターを開発しました」と内田氏。あえてここでは「快適」という言葉を使っているという。マネジメントをマネージャーだけの仕事にするのではなく、メンバー全員で小さなサイクルを回し、一人ひとりが現状を把握することで目標に向けたクリエイティブな仕事に集中できるようになる。それがインプリムの掲げる「マネジメント快適化」というコンセプトだ。
また内田氏は「上司に報告する前日に、急遽情報を集めて整理を行うといったことがよくあるのでは」と言う。多くの現場担当者は手間がかかるので、そのようなデータの入力や情報管理などのマネジメント業務を後回しにしてしまうケースが散見される。後回しにしてしまうのは、その業務が“快適“に行えていないことも要因だという。マネジメント業務を快適にし、普段から意識せずに情報管理ができるようにして、鮮度の高い正しい情報を共有可能にする。それを実現するのがプリザンターなのだ。
プリザンターは安価に利用できることも大きな特長。無償のCommunity Editionから始めて、利用が増えたら適宜、有償のエンタープライズサポートを受けられるようにもできる。SaaS版も提供しており、1ユーザー月額500円から利用可能だ。全社規模で大勢が利用してもかなり低コストで利用できるので、コストの最適化が図りやすい。
また、多様な利用形態がとれる。オンプレミス版はノートPC1台で動くシンプルな構成から開始することが可能だ。よりセキュアな環境や大規模組織での利用などステップアップしたい場合は、パブリッククラウド上で稼働するSaaS版も利用できる。1社で複数のプリザンターを稼働させているユーザーや、オンプレミスとSaaS版の両方を並行して稼働させているケースもあるという。SaaSはすぐに利用を始められ、導入や運用管理の手間もない。一方でネットワークの事情やセキュリティルールの制限からオンプレミスで利用したいとの要望もあり、「顧客ニーズに最適なインフラを選べることも、プリザンターが選ばれている理由です」と内田氏は言う。
一般的なSaaSは中小企業向けのイメージがあるが、FJcloud上で提供しているプリザンターのターゲットはあくまでも大規模な組織。大規模組織の多様な利用形態ニーズにも対応できるよう顧客専用の環境として使えるSaaS版も提供しているのだ。