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IT Compliance Reviewスペシャル

重み増すCFOの役割~経営を牽引するCFOの条件(後編)

外資系企業でありながら、日本における公開企業でもある日本オラクル。米国、日本の多くの規制や制限に対処することで疲弊してしまうのではなく、むしろビジネスを拡大を続けている。そんな同社にとって、CFO(Chief Finan-cial Officer)の役割はきわめて大きなものだ。(ITComplianceReview vol.9より転載)

グローバルで1つの標準プロセスを作り上げる

 通常、国内企業が海外に進出する際には、まずは日本で金融商品取引法なり会社法なりに準拠できる体制を作り上げ、その体制を海外に拠点に適用しようとするだろう。当然ながら、海外拠点ごとに商習慣も違えば遵守すべき法律も異なるので、日本の体制とのギャップを洗い出し、擦り合わせを行ってギャップを埋めていくことになる。

 各国においては、すでに行ってきたローカルのやり方を変えたくないと考え、抵抗感を持つのが普通だ。さらに、国ごとに新たな法律や規制も出てくるかもしれない。その都度、それを取り込んでいく必要もあるのだ。

 この方法で各国の会計データの整合性をとろうとすれば、手間と時間が大きくかかってしまう。そして、いざグローバルで連結会計の処理を行おうとしても、本社では細かい調整が数多く発生し多大な苦労をすることになるのだ。

 オラクルのとっている方法は、これとは大きく異なる。最初にワールドワイドに適用できる(経理ルールも含む)1つの標準プロセスを作ったのだ。そして、最新の要求事項は、その世界で1つの標準プロセスに順次取り込んでいく。

 「オラクルではグローバルで最適となる標準プロセスを構築しています。そのための専任担当者が置かれ、米国、日本のみならず、世界150カ国すべてで対応できるプロセスの構築に努めているのです。彼らは、日々その標準プロセスがグローバルで真に全体最適化するように考え続け工夫しています。」(野坂氏)

 さらに各国には、ローカルのことを考えるカントリーオーナーが置かれている。たとえば日本のカントリーオーナーは、日本でどこまで標準プロセスのままで適用できるかを考える。発生する世界標準とのギャップについては、新たな処理手順として標準プロセスに組み込んでもらうべきなのか、それとも例外的な処理としてローカルだけで対処する仕組みを作り個別に対応すべきかを判断することになる。

 ただ、この方法はある種理想的なものであり、実現できるのはかなり先進的な企業に限られるであろう。多くの企業は、一足飛びに世界標準のプロセスを構築できるわけではなく、また世界標準に各国が合わせるという体制を容易に作れるものでもない。実際には、各国の帳簿体系を日本の本社の仕様に合わせるといった作業が行われ、それと並行して世界で通用する標準プロセスの構築に徐々に取り組むことになるはずだと、野坂氏は言う。

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世界標準のプロセスを効率よく運用する

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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