アサヒグループによる「温度差が生じない」ITモダナイズ、経営陣がSoE/SoRを語るまでの変化起こす
2030年の在り様を描き、アジリティに優れたシステム実現を目指す

アサヒグループホールディングスでは、現在DX実現に向けた中心施策の一つとして、社内システムのクラウド移行とモダナイゼーションを進めている。2020年に、IT基盤に係る中期計画『アサヒモダナイズアーキテクチャ2020-2027』を策定しており、大きく4段階に分けてモダナイゼーションを進める計画だ。その目的や具体的な取り組み内容について、同社のキーマンに聞いた。
システムのアジリティ向上を目的に、モダナイゼーションに着手
アサヒビールやアサヒ飲料、アサヒグループ食品など国内屈指の大手酒類・飲料・食品メーカーを傘下に持つアサヒグループホールディングスは、DX(デジタルトランスフォーメーション)に積極的に取り組む企業としても知られる。
特に、国内においてはグループの国内事業を統括するアサヒグループジャパンを中心に、これまでさまざまなDX施策を推し進めてきた。同社のDX統括部を中心に、グループ内の各事業会社や情報子会社、外部のパートナー企業などと密接に連携しながら各種デジタル施策に積極的に取り組んでいる。
かつてはグループ会社ごとに個別に構築・運用されていた基幹システムを統合し、仮想化技術をベースにしたプライベートクラウド基盤を構築して、その上にシステムとデータを集約する取り組みを早くから進めてきた。その成果は着実に現れていたものの、やがてオンプレミスのプライベートクラウド基盤ではさまざまな面で限界が見えてきたという。
「事業環境の変化スピードが年々増していく中、システムにも変化に対して俊敏に対応できるアジリティがより求められるようになってきました。しかし、従来のようにオンプレミス環境にシステムを構築するやり方では変化に素早く対応できませんし、ハードウェアの運用・管理に少なからぬ工数が掛かるため『攻めのIT』に十分なリソースを投入できませんでした」

こう語るのは、アサヒグループジャパン 執行役員 DX統括部 部長の山川知一氏。同社はこうした課題を解決するために、社内システム基盤をオンプレミスからクラウドへ移行するとともに、老朽化したレガシーシステムをモダナイズしてシステムの俊敏性を高めることを謳った『アサヒモダナイズアーキテクチャ2020-2027』を2020年に策定。2020年から2027年までの間にクラウドベースの新たなシステム基盤を構築し、段階的にシステムのモダナイズを進めることでビジネスの変化にも俊敏に対応できるITを実現すると同時に、システムの可用性や性能、セキュリティ対策などの向上も目指すとしている。
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吉村 哲樹(ヨシムラ テツキ)
早稲田大学政治経済学部卒業後、メーカー系システムインテグレーターにてソフトウェア開発に従事。その後、外資系ソフトウェアベンダーでコンサルタント、IT系Webメディアで編集者を務めた後、現在はフリーライターとして活動中。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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