システムのアジリティ向上を目的に、モダナイゼーションに着手
アサヒビールやアサヒ飲料、アサヒグループ食品など国内屈指の大手酒類・飲料・食品メーカーを傘下に持つアサヒグループホールディングスは、DX(デジタルトランスフォーメーション)に積極的に取り組む企業としても知られる。
特に、国内においてはグループの国内事業を統括するアサヒグループジャパンを中心に、これまでさまざまなDX施策を推し進めてきた。同社のDX統括部を中心に、グループ内の各事業会社や情報子会社、外部のパートナー企業などと密接に連携しながら各種デジタル施策に積極的に取り組んでいる。
かつてはグループ会社ごとに個別に構築・運用されていた基幹システムを統合し、仮想化技術をベースにしたプライベートクラウド基盤を構築して、その上にシステムとデータを集約する取り組みを早くから進めてきた。その成果は着実に現れていたものの、やがてオンプレミスのプライベートクラウド基盤ではさまざまな面で限界が見えてきたという。
「事業環境の変化スピードが年々増していく中、システムにも変化に対して俊敏に対応できるアジリティがより求められるようになってきました。しかし、従来のようにオンプレミス環境にシステムを構築するやり方では変化に素早く対応できませんし、ハードウェアの運用・管理に少なからぬ工数が掛かるため『攻めのIT』に十分なリソースを投入できませんでした」
こう語るのは、アサヒグループジャパン 執行役員 DX統括部 部長の山川知一氏。同社はこうした課題を解決するために、社内システム基盤をオンプレミスからクラウドへ移行するとともに、老朽化したレガシーシステムをモダナイズしてシステムの俊敏性を高めることを謳った『アサヒモダナイズアーキテクチャ2020-2027』を2020年に策定。2020年から2027年までの間にクラウドベースの新たなシステム基盤を構築し、段階的にシステムのモダナイズを進めることでビジネスの変化にも俊敏に対応できるITを実現すると同時に、システムの可用性や性能、セキュリティ対策などの向上も目指すとしている。