2009年7月24日、東京証券会館にて「システム管理者感謝の日」が開催された。本稿ではその中で行われた講演の内容を、全3回に渡ってお届けする。(中編はこちら)
運用者がみるべき「パフォーマンス」の要点
パフォーマンスに関して言えば、レスポンスとスループットということになる。レスポンスは見られやすいが、スループットは見られないことが多いという。
「スループットで大事なのは、何らかの形でトランザクション量に対して、サーバなどのCPUの使用率がどこまでリニアになっているかを常にチェックすること」だという。
「アプリケーションの要件やパラメータの設定で、あるところまでリニアだが、それ以上100%にはりついてしまうことがよくある。これはけっこう危険です。これまでのキャパシティと増減率を考慮し、キャパシティ増加に必要なリードタイムを計算すると、ここで決定しなければ手遅れになるというポイントが存在します。」
問題なのはこれまでの実績と、そこから先の外挿の数字がこれまでと同じ傾向かどうか予測できないこと。
この時考慮しなければならないことは将来の負荷を「強気で読むか、弱気で読むか」だ。また、ビジネス的には人気のあるイベントやゲームなどの商品の発売に伴う負荷の急激な増大のような「一過性の負荷」も存在する。それにビジネスの環境変化に伴う「構造的な負荷の変化」もある。
「負荷を読むときには、一過性か構造的か、本質的には変わりがないかを考える必要があります。考えた上で、危険な水準に行くまでにキャパシティ追加の判断が必要。この場合、導入リードタイムというのも要注意なのです。サーバの発注から納品までの時間や契約などはあまり問題にならないのですが、社内手続きから決済までの時間、プロセスということは決して見逃せない問題です。大きな投資が伴う場合には、トップマネージメントの意思決定会議がどのぐらいの間隔で予定されているかも十分考慮すべきです」
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EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)
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