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2024年11月21日(木)オンライン開催

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レガシーを活かしモダナイズで価値を高める、エンタープライズ・アーキテクチャの実践

レガシーを全面刷新することだけがモダナイズじゃない!既存システムを活かして価値を生むには

第1回:実践的エンタープライズ・アーキテクチャに基づくITシステムのインフラプランニング


 日本企業のITインフラ領域をけん引する、キンドリルジャパンのアーキテクト6人が「レガシーを活かしモダナイズで価値を高める、エンタープライズ・アーキテクチャの実践」と題し、連載していきます。インフラ環境としてマルチクラウド化が必須となった今日、業界関係者の方々が日々直面する共通課題として実践例をもとに「ビジネス戦略」「ITと業務部門連携による相乗効果」「システム計画」そして「技術者の役割」といった観点から、包括的に把握していきましょう。

 ビジネス要求を根拠とすること。私たちアーキテクトがITソリューションを策定する上で最も大事にしている観点です。経営に通じる高い視座を持つことで、ITおよびそのインフラがビジネスゴールを達成させるための根幹であることが理解でき、一貫性をもったエンタープライズ・アーキテクチャを描くことができるようになります。

 企業ITにおいては、既存システムのライフサイクルを最適化する「守り」と、戦略的システムを創り上げる「攻め」の両立が常に求められています。社会や技術の変化のスピードは異なっていても、最新技術を適用した戦略的システムが中長期の利用を経て安定化し、最終的に“老朽化”するまでのサイクルを繰り返すITの世界において、企業のIT部門が永遠に直面し続ける課題です。エンタープライズ・アーキテクチャの実践が、「守り」と「攻め」の見極めや、それを受けたシステムプランニングの策定に対してどのように有効であるのか。第1回では、キンドリルチーフアーキテクトの活動を踏まえ、今後の連載に向けた全体像を紹介していきます。

* * *

「エンタープライズ・アーキテクチャ」とは?

 そもそも「アーキテクチャ」とは何でしょうか。弊社では「お客様の課題を解決するソリューション構造」と定義しています。エンタープライズ・アーキテクチャの標準的なフレームワークであるTOGAF(The Open Group Architecture Framework)の定義によれば、エンタープライズは「共通ゴールを共有する組織の集合体」、アーキテクチャは「システムの構成要素や設計構想を導く原則」、そして共通ゴールは「ビジネス変革を実現すること」と位置づけられています。

 我々チーフアーキテクトは、担当するお客様それぞれのエンタープライズ・アーキテクチャの実現に向け、ITインフラシステムのプランニングを行っています。お客様の戦略達成に向けた課題抽出、それらの課題がITにより解決される「理想」の追求と「現実」の把握、そのギャップを埋めるためのソリューションの検討、導入するソリューションの優先順位付けおよびロードマップ策定がプランニングにおける主要な活動です。  

 これらの活動を通じ、ステークホルダー間での合意形成へと導いていきます。合意を得るためには、事業部門とIT部門、アプリケーションの開発・運用部門、インフラ構築・運用部門との間の認識を一致させ、全員が同じゴール(共通理解)を目指すことが前提です。共通理解を築くためのツールとして、標準化されたドキュメントが必要となるため、そのフォーマットや作成方法についてもアーキテクトチームが管理・ガイドしています。

画像を説明するテキストなくても可

 弊社のチーフアーキテクトは、特定の技術領域だけでなく、ITインフラ全般の幅広い知識を持ち、お客様の目標達成を支援します。インフラ運用の業務委託契約において、通常はお客様ごとに1人のチーフアーキテクトが就き、3つの軸に基づいて活動しています。

 第1に、「アカウント・アーキテクチャ・ロードマップ」を策定し、提案を進め、お客様と合意すること。ITインフラを中長期に渡ってどのように変革していくのか、最高情報責任者(CIO)を含むお客様と共創します。第2に、お客様のデリバリー現場において、技術支援やアーキテクチャのガバナンスに従事すること。システム構築プロジェクトにおけるアーキテクチャのレビューや、運用の品質向上に関する支援を行っています。インフラ運用のコード化や可観測性の向上を実現するデジタル統合プラットフォーム「Kyndryl Bridge」の活用は、その活動の一例です。第3に、提案依頼(RFP)に対応する「プリセールスソリューショナー」としての役割です。弊社コンサルタントや各技術領域におけるソリューショナーをつなぎ、お客様のビジネス目標を達成するためのソリューションの全体像を描きます。

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レガシーを活かす、モダナイゼーションの姿

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レガシーを活かしモダナイズで価値を高める、エンタープライズ・アーキテクチャの実践連載記事一覧

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この記事の著者

河合 琢磨(カワイ タクマ)

キンドリルジャパン株式会社 クライアントテクノロジー戦略部門チーフアーキテクト。2000年、日本アイ・ビー・エム株式会社入社。2021年、分社化によりキンドリルジャパン株式会社へ移籍。国内鉄鋼大手のアウトソーシングのお客様の製鉄所インフラ担当エンジニアとしてキャリアをスタートさせ、以後15年に渡って...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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