六本木で幕を開けた「42時間」にわたるコンテスト
梅雨の晴れ間、日中の暑さに負けず劣らず熱気のある多くのエンジニアが六本木に集まった。ドリーム・アーツは、フランス・パリ発、日本ではDMM.comが誘致して運営スポンサーを務めるエンジニア養成機関「42 Tokyo」の学生を対象にパフォーマンスチューニングコンテスト「"Tuning the backend" Contest 2023」を開催。6月16日から3日間、62名の学生が課題に挑戦すべく参加した。
ライトアップされた東京タワーを望めるオフィスの一角、ドリーム・アーツ CTOの石田健亮氏が「皆さんコーディングをしていますか」と呼びかけると、同コンテンストのルールや目的などの説明された。同コンテストは、3名1組のチームで計42時間にわたってパフォーマンスチューニングに挑戦するというもの。得点は専用の採点モジュールで計算され、最もスコアの高いチームが優勝となる。42 Tokyoでは、ピア・ラーニングを重要視していることもあるが、知らない相手と1つのプロジェクトを完遂するという実業務に近い感覚を養うことも同コンテストが目指すところだ。
今年のお題は、グループ約30万人規模の大手企業に提供しているタレントマジメントシステムの改修。導入してからパフォーマンス問題が頻発しており、42時間の緊急メンテナンス期間でユーザーに満足してもらえるだけの性能に引き上げなければならない。実行環境が整えられたiMacが3台、採点可能な仮想マシン(VM)がチームに1台与えられ、優勝チームには10万円分のAppleギフトカードが贈呈される。
一通りのルール説明がなされた後、石田氏が「実際の業務では、ユーザーとギャップが生まれたり、想定しない使い方をされたり……その中でもパフォーマンスに起因する問題は頻発します。今回のコンテストでは、プレッシャーを感じる場面もあるかもしれませんが、プロとしてやっていくということがどういうことか。そうした思いなどを体験して欲しい」とエールを贈り、「高速化するぞ」という掛け声の下で42時間にわたるコンテンストの幕が切って落とされた。
今回で2回目となる同コンテンストは完全オフライン。ハイブリッド開催でオンライン参加者が多かった昨年とは打って変わり、チームメンバーを探すところから課題が始まるなど参加者からは緊張や高揚が感じられた。昨年のコンテストにも参加していた学生は、「緊張感もあるがリアルならではの雰囲気が感じられ、ワクワクが勝っている」と笑顔で語ってくれた。また、初参加という学生に参加理由を訊いてみると「優勝賞品も楽しみだが、実際の業務に役立つような経験を積みたいと思い参加した」「チームで1つのゴールに向かって楽しみながらスキルアップしたいと思った」など、意欲溢れる学生が多かった点も同コンテストの特長なのかもしれない。
なお、42時間を通してチャレンジする学生を支えるためのメンターとして、実際にコンテストで使われたシステムを構築したエンジニアや42Tokyoで学んで過去に参加者としての経験を持つ5名がドリーム・アーツから参加している。「システムに潜んでいるトラップに苦しんでもらいながらも、チームとして乗り越えて欲しい」として、同社にも興味をもってもらう良いきっかけにもしたいと話す。実際の業務現場での働き方やエンジニアとしてのキャリアなど、学生が抱えている疑問を直接投げかけられる場としてもコンテストは機能していた。