「データマネジメントがやりたい!」でパーソルキャリアへ
──これまで渡邊さんは、どのようなキャリアを歩んでこられたのでしょうか。
新卒でSIerに入社してからは10年ほど、お客様のデータベース周りやSCM、システム統合などいろいろと経験してきました。しかし、SIビジネスの性質上、他社にシステムを卸すような側面もあり、自社システムに携わりたいと事業会社の社内SEに転職しています。そこは小売業でしたので店舗システムや物流システムを担当するのかと思いきや、長らくデータ環境の整備を担当することになり、ここがデータマネジメントへと舵を切る契機となりました。
どこの会社でもそうですが、データ環境を整え、活用が進んでいたとしても、良いインサイトを得ることには苦労します。まさしく前職の事業会社で悩んでいたところ、「データマネジメント」が解決策の1つになるのではと調べ始めると、次第にデータマネジメントへの興味が強まっていき、「データマネジメントがやりたい」と2022年6月にパーソルキャリアへと入社しました。
──なるほど、データマネジメントに係わりたくてパーソルキャリアに入社されたのですね。では、入社当時のデータ活用状況はどうでしたか。
パーソルキャリアには、データを活用できるだけの環境があり、データアナリストやデータサイエンティストもいて「進んでいるな」という印象を受けましたね。一方で、「データを正しく使えているか」「解釈できているか」といった観点で見ると不十分とも思いました。当然ながらそうした課題意識をパーソルキャリアでも把握しており、データガバナンスやデータマネジメントに力を入れていく方向へと風向きが変わっていた中での入社だとは認識しています。
とりわけデータマネジメントに取り組むとなると、組織や環境を含めて“俯瞰すること”が必要です。自社の現状を見て「データマネジメントができている」と評価する人はいるでしょうが、果たしてそれは人材や環境も考慮しているのか。パーソルキャリアにおいても多角的な視点が求められていると感じます。
──では、『DMBOK』の実践についてはどうでしょうか。
実は、当初から明確に「DMBOKの世界観を実現したい」といった観点をもっていませんでした。私が今関わっている人事領域のデータマネジメントに絞ってみたとき、たしかにDMBOKのフレームワークが参考になります。そのため、全容の把握から着手して、各施策を見ていくようなある種のセオリーに沿って進めています。
一方で人事領域でもそうですが「データマネジメントをしよう」と、いきなりDMBOKに取り組みはじめることはないでしょう。当社では「人々に“はたらく”を自分のモノにする力を」というミッションがあります。このミッションを推進するために、転職希望者様をはじめ、パーソルキャリアではたらく社員も支援したいといった思いがきっかけとなり、“データ活用が欠かせない”という認識に至ると考えます。当社では、人事デザイン部と呼ばれる部署がリードしながら取り組みを進めていますが、システムが絡んでくるとITの知見が必要となります。そこで、デジタルテクノロジー統括部というデータやテクノロジーで社会課題を解決する専門部署のメンバーが混じって議論を進めることで、「まずはデータの整備をしましょう」と動き始めました。
そこから約1年にわたってデータ環境整備を進めてきました。データ環境は存在しているだけでは意味がないため、今期からはデータマネジメントに目を向けて、必要な組織体制を考えているところです。つまり、データ収集やデータ環境の整備が先行しており、データマネジメントが後から加わった形ですね。ちなみに、人事部からは「データ環境が欲しい」というオーダーを当初もらっており、「データマネジメントを進めていきましょう」と私たちが提案・実行しています。