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2024年秋号(EnterpriseZine Press 2024 Autumn)特集「生成AI時代に考える“真のDX人材育成”──『スキル策定』『実践』2つの観点で紐解く」

週刊DBオンライン 谷川耕一

50%のCEOが生成AIを自社製品に取り込むと回答、生成AIのDX活用人材確保には課題──IBMと経産省の調査から見えてきたもの


 IT業界にいる人なら、ChatGPTやGoogle Bardに何らか質問を投げかけ、得られた答えの流ちょうな文章に驚きを覚えたことだろう。IBMの調査によると、米国のCEOの半数ほどが既に生成AIをデジタル製品やサービスに組み込んでいると回答している。一方で57%が生成AIで利用するデータのセキュリティに、48%がバイアスやデータの正確性に懸念を持っている。生成AIを積極的に自社のビジネスに活用する動きがあるものの、まだまだ多くの懸念もある現状が見て取れる。

IBM CEO調査:生成AIの活用は加速するも正確性やデータのセキュリティに懸念

 IBMの調査「CEOスタディ 2023」に回答した7割ほどのCEOは、今後生成AIのメリットが全社的に幅広く及ぶとも答えている。一方で一般の経営層では7割ほどが生成AIを導入し活用するための組織の準備ができていないとも答えている。新しい技術をいち早く活用することで競争力を得ようとする動きが加速しているが、現場はそれに追いついていない。

出典:日本IBM  [画像クリックで拡大]

 また米国では、取締役会、投資家や金融機関、従業員やビジネスパートナーなど、さまざまな企業の利害関係者から生成AIを急いで導入すべきとのプレッシャーを感じているようだ。国内でも新製品発表や戦略発表の記者会見の場で、記者が「貴社製品は生成AIにどう対応するのか。生成AIでどう進化するのか」と質問するのは定番となっている。発表側でもFAQの1つにこれらの質問は、今や必ず入っていると思われる。

 CEOが生成AIに期待していることとしては「売り上げあるいは収益の改善」「コンテンツの品質向上」「組織力の拡大」が挙げられている。コンテンツの品質向上などは生成AIを使って比較的容易に取り組めそうだが、売り上げや収益の改善はそう簡単ではないだろう。生成AIを上手く活用して予測精度の向上や対応スピードが速くなるなどで顧客の満足度を徐々に向上させるといったことはできるかもしれない。

出典:日本IBM  [画像クリックで拡大]

 もちろんそのような取り組みを積み上げれば、一部のコストを下げるなど収益に良い影響を与えるだろう。とはいえ、そこから直ちに売り上げが大きく増えるとは考えにくい。生成AIを活用して得られた人材やコストの余裕分を、しっかりと新しいビジネス開発に投資できるのかが重要であり、それがなければ限定的なコスト削減効果で終わってしまうかもしれない。

 その上で、ビジネスで真に生成AIを活用しようとすれば、データセキュリティやバイアスの問題がまだまだ大きく立ちはだかっているのも現実だろう。生成AIで顧客に提供した回答はどのようにして得られたかの説明が可能か。説明するには利用したデータをどこからどうやって取得し、どういった学習をしたかも明確にできなければならない。先の調査でも、61%CEOがデータリネージュ(データ起源の可視化)およびプロビナンス(データの発生、来歴)などを明らかにするところに懸念を待っており、57%がデータセキュリティの確保が生成AIの導入を阻むと考えている。

 とはいえ米国で生成AIの活用が進んでいるのも明らかであり、既に生成AIを活用するために人員を追加採用したと回答しているCEOが46%いる。人員削減や再配置も43%のCEOが実施していると回答している。今後日本でも、生成AIを活用するための人材採用が増えると同時に、生成AIを導入したことでこれまでの仕事を失う人が出てくる状況は避けられないだろう。

出典:日本IBM   [画像クリックで拡大]

 IBMでは、ビジネスでのAI活用を加速するために、2023年5月にwatsonxを発表している。watsonxにはあらゆる場所の多様なデータに対しAIワークロードを拡大するためにwatson.dataがあり、AIモデルのトレーニング、検証Tuning、導入を支援するwatson.aiがある。そして責任、透明性があり、説明可能なAIワークロードを実現するためにwatson.governanceも提供する。これらを使い、企業などで独自に安全で信頼できるAIモデルを構築し、ビジネスに活用できるようにする。それをコンサルティングのビジネスで支援するというのがIBMの生成AIに対する取り組みとなる。

出典:日本IBM   [画像クリックで拡大]

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経済産業省調査:求められるのはデジタルよりも変革をリードできるスキル

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

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