事業成長で1時間に100万アクセス 見えたのはインフラの限界
「いい家選ぶ、いえらぶ。」をミッションに掲げるいえらぶGROUPは、不動産会社向けにデジタルサービスを提供している企業。2008年創業当初からバーティカルSaaS「いえらぶCLOUD」を中心に不動産業務支援サービスを幅広く提供している。依然としてデジタル化で後れを取る不動産業界において、内見から契約までのプロセスの効率化、駐車場管理のデジタル化、ライフラインのWeb手続きなど、不動産事業者にとって痒い所に手が届くサービスで業績を堅調に伸ばしてきた。
「不動産業界は、大手企業と中小企業が混在する独特の産業構造で成り立っています。市場の一部を大手企業が占めながらも多くの中小企業が業界を支えている、そこに目を向けたサービス群をSaaSとして提供しています」と語るのは、いえらぶGROUP システムオペレーション部 部長 田村敬也氏。大手企業に向けにスクラッチでオリジナルサービスを提供しながら、中小企業向けのサービス拡充に注力している。
不動産市場の多くを占める中小規模事業者にとって、IT化やデータ活用はハードルが高い。自社オリジナルでのサービス開発はコストがかかるだけでなく、物件データベースや賃貸管理、ホームページ管理など必要とする機能も多いため余計に高くついてしまう。何よりそれらの運用を考えると現実的ではないだろう。
そうした背景もあり、いえらぶCLOUDのユーザー数は年々増加。現在では1万5000社を超える事業者が利用しており、当初想定していたよりも急激な伸びを見せているという。日によっては1時間に100万アクセスを記録することもあるなど、2023年のアクセス規模は前年比1.6倍にまで膨らんでいる。このとき問題となったのが長年オンプレミス環境にあったインフラ基盤。今後のユーザー数の増加率を予測すると現状維持だけでは耐えられない局面を迎えてしまったからだ。