AI時代、高まるデータ戦略のカギは「データクラウド」
(Snowflake)
2023年を振り返って
2023年は、大規模言語モデルに代表される生成AIの登場によって変革の年となりました。テクノロジー各社は様々な言語モデルをリリースして新しい使い方を提案する一方、企業側もこれらの言語モデルを社内の生産性向上のため、日常業務の効率化や、顧客向けサービスに組み込み、満足度の向上を図るなど様々な動きが見られました。
Snowflakeはデータクラウドを推進し、企業のデータ基盤としてそのDX戦略を支えてまいりましたが、こうした技術動向をふまえ、コンテナサービスの実装により生成AIなど高度な技術をSnowflake上で直接動かせるようにしたり、Streamlit社の買収によりPythonを使ったアプリケーション開発機能もリリースしたりと、Snowflake上で一元管理されたデータの更なる活用を促進させる機能拡張が進んだ1年でした。
また、Snowflake マーケットプレイスで提供されるデータやアプリケーションも増加しており、企業による外部データの取り込みにより、これまでは実現できなかった解像度でデータ分析が進みました。
こうした取り組みは、お客様を中心に据えた「Mission Alliment(お客様のミッションとビジネスの成長と共に)」というSnowflakeのコア戦略に基づく行動であり、今後も続けて参ります。
Snowflake
社長執行役員
東條 英俊氏
2019年9月、Snowflakeに第1号社員として入社し、国内ビジネスの立ち上げと成長を牽引。Snowflakeのデータクラウド推進により、4年間で500社以上のお客様のDX推進とデータドリブン経営を支援。前職はGoogle Cloud、日・米マイクロソフトなどで営業、マーケティング、アライアンスを歴任。2013年米ワシントン大学でMBA(経営学修士)を取得。
2024年の展望
引き続き生成AIを中心としたAIの活用が企業内で大きく進み、生産性の向上や省人化に寄与すると考えられます。確かな成果を上げるためにも、自社データや信頼できる外部データに基づいた言語モデルのチューニングやカスタマイズが重要ですが、同時に安心安全に利用するためにセキュリティの担保、データガバナンスへの取り組みは急務と言えるでしょう。これは堅牢なインフラ基盤があって実現できることです。「AI戦略」を進めるためにも土台となる「データ戦略」を見直し、サイロ化を解消しデータを一元管理できるデータ基盤の構築を目指すお客様をSnowflakeは全面的に支援していきます。
一旦整備されたデータ基盤の上では、生成AIの実装や、関連会社とのデータ共有、データによる収益化など幅広い施策が可能になります。我々Snowflakeは、引き続きお客様のミッションに寄り添い、ビジネス価値を最大化する施策を、スピード・コスト、セキュリティを犠牲にすることなく支援していきます。
多くの企業が「サイバーハイジーンの徹底」を重視
(タニウム)
2023年を振り返って
5月にコロナが第5類に移行し、多くの企業で「オフィスに人をどのように戻すのか」「ハイブリットワークで社員の生産性をどう確保するのか」また「そのIT環境のセキュリティの担保は?」といった議論が多くあった1年だったかと思います。
サイバー攻撃に目を向けると、当社が選考会メンバーと参画している2023年度の「IPA 10大脅威」でもランサムウェア感染が一位でした。名古屋港の事案のように犯罪者がシステムの脆弱性を悪用し、実際に業務システムを停止に追い込むようなケースは増加の一途を辿っています。当社が創業当初から提唱している「見えない物は守れない」「サイバーハイジーンの徹底」が多くの企業/自治体で検討、導入された1年でもありました。
また、日本国内でのタニウム導入端末も300万台を超え、多くのお客様がSaaS型での導入にシフトした年でもありました。海外からの観光客も戻ってきている昨今、口を揃えて「日本はとても衛生的で綺麗な国だった」と帰っていかれます。サイバーの世界でも日本が最も衛生的な国になる日が近いと感じております。
タニウム
アジア太平洋日本地域プレジデント 兼 日本法人代表執行役社長
古市 力氏
アジア太平洋日本地域のプレジデントとして、タニウムの成長をリード。2017年に北アジアのVPとしてタニウムに入社し、以来日本と韓国のビジネスの成長をけん引。タニウム入社前は、VMwareのバイスプレジデントを務め、グローバルアカウントと戦略的アカウントの営業組織を一から作り上げた。また、BrocadeやComputer Associatesで複数の営業管理職を歴任。また、中央大学理工学部情報システム工学の学士を取得し、シンガポール国立大学でエグゼクティブプログラム、戦略的マーケティングおよびアカウンティングの資格を取得している。
2024年の展望
多くの組織が2025年の崖に落ちない為に、残り続けるレガシーシステムがもたらす様々な課題に取り組みつつ、生成AIなどを活用したDX推進といったITイノベーションとの両立をIT部門は担っていくことになるかと思います。これらの両立に向けて、“脱オンプレミス”の戦略に舵取りを変える組織がより一層増加することが見込まれ、ITインフラはクラウド側(ゼロトラスト)とエンドポイント側の二つに大きく集約されると考えられます。
既にコロナ禍の影響により、クラウド側の実装は前進しつつありますが、エンドポイント側はいまだ手付かずの企業も多いのが現状であり、これらの実態を打開する上で、グローバルでは動的なエンドポイント管理が政府関連機関から強く示唆されていきます。
タニウムも、オートノマス(自立型)エンドポイントマネージメントの新ビジョンを発表し、お客様のエンドポイント管理の効率化や社員の生産性を向上するための新規製品群(DEX/SBOM/ベンチマークなど)の浸透が大きなチャレンジになる年と考えています。
「AIの民主化」へ大きく前進した年
(データブリックス・ジャパン)
2023年を振り返って
2023年は、AI技術の進歩とともに、人々のAIに対する関心と意識に変革があった画期的な年でした。Databricksにとっては、独自の大規模言語モデル(LLM)を開発するMosaicML社を買収したことで、「AIの民主化を推進する」というビジョンの実現へ大きく前進した年となりました。今後、両社の強みを融合させていけば、あらゆる企業が独自データを使って安全にコスト効率よく、LLMを含む生成AIモデルを構築・所有・保護できるようになるでしょう。
また、11月に発表した「データ・インテリジェンス・プラットフォーム」は、従来のデータ・プラットフォームに革命をもたらすものです。データレイクハウスの上に構築され統合化されたプラットフォームは、生成AI技術を活用して運用・管理といった課題への対処をよりシンプルかつ容易にし、企業の業務効率やコスト削減に貢献できると考えています。
当社は引き続き、品質、スピード、アジャイル性を備えた次世代のデータ・AIアプリケーションの開発を通じて、データとAIを活用する企業を支援し、AIの民主化を推進していきます。
データブリックス・ジャパン
代表取締役社長
笹 俊文氏
2023年1月、データブリックス・ジャパン 代表取締役社長に就任。エンタープライズテクノロジー領域にて、20年超のリーダーシップの経験を有する。データブリックス入社以前は、セールスフォース・ジャパンに10年以上勤務し、直近ではデジタルマーケティングビジネスユニットの専務執行役員兼ジェネラルマネージャーを務めた。また、インフォアジャパン、JD Edwards(現・日本オラクル)、日本アリバ(現・SAP Ariba)などのテクノロジー企業でも重役を歴任した経験を有する。
2024年の展望
日本企業のAIへの投資は増加の一途を辿り、2024年以降は日本語を理解できるAIモデルの進化を含め、生成AIの活用事例がより多くなると予想しています。日本企業は、LLMや生成AIの活用方法に加え、どのようなモデルが必要で、どのように展開するべきかの経営判断を迫られることになるでしょう。
生成AIは「ローコード/ノーコード」による開発の動きが活発になり、Databricksの「データ・インテリジェンス・プラットフォーム」のような統合プラットフォームの必要性が高まると見ています。データ・プラットフォームに生成AIが組み込まれれば、コーディング能力を持たない企業でも、自社が持つデータに新たな価値を見出すことができるようになります。
AI利活用の鍵となるのが「AIのガバナンス」です。今年は、世界的にAIのコンプライアンスや説明責任、透明性などに関する関心が高まり、議論が始まりました。今後、AIの効果的かつ安全な利用法に関する規制や政策が急がれることになるでしょう。
「エンドツーエンド」での実装力強化で飛躍の1年に
(デロイト トーマツ コンサルティング)
2023年を振り返って
2023年はパンデミックの終息、国際関係の変化や技術競争などにより、社会・ビジネス環境に大きな変化がありました。特に生成AIの急速な進展は、企業に新たな機会をもたらすだけではなく、我々コンサルティング会社も含め、価値創出の在り方の再考を迫るものとなっています。
不確実性が高まる中で企業の課題は複雑化し、テクノロジーの組み合わせによる価値創出が競争の源泉になりつつあります。企業のニーズは、データやソリューション活用による高度化・効率化に加えてクラウド、サイバーセキュリティ、サステナビリティなどをキーワードにしたものが増えました。また生成AIは、リスクを適切に管理しながら創造や判断を支援するツールとして、いかに使いこなすかを模索する取り組みが多く見られました。
デロイトも先進技術研究、テクノロジーのビジネス・社会実装、また導入や保守運用も含めたエンドツーエンドでの実装力強化に取り組み、飛躍した1年になりました。
デロイト トーマツ コンサルティング
執行役員(Offeringsリード)
信國 泰氏
全社的な組織再編・業務改革や、経営管理、営業改革などバリューチェーン全体に及ぶ経験を有し、システム導入まで含めたフルライフサイクルでのプロジェクトに強みを持つ。現在は各種サービス全般を統括するリーダーとしてニアショア・オフショア活用も推進する。またスポーツ関連事業や教育機関との連携、デジタル人材育成など社会課題解決に関わる活動もリードする。
2024年の展望
2024年も不確実性が高い状況は続き、テクノロジーによるイノベーションと差別化、自動化と効率化がますます進むと考えます。特に生成AIは、その活用を前提にした社内オペレーション構築や外部向けサービス開発が加速すると考えます。また、これまで検討が進んできたサステナビリティ関連のIT投資も、AIやデータ基盤を中心に本格化の元年になるのではないでしょうか。
企業は先進技術を活用した新たな企業運営の在り方を作り、それを専門性の高い組織とエコシステムを形成しながら実行していくことが必要になっています。そして我々には、それをロングテールでサポートしていくことが、より一層求められているのだと考えています。そういった変化に合わせ、デロイトはクロスインダストリー、クロスオファリングに加え、フィナンシャルアドバイザリー、リスクアドバイザリーや税務も含めたAll Deloitteをこれまで以上に強化する施策を講じ、企業の課題解決を支援してまいります。