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第2回 監視カメラ運用虎の巻

第2回

第2回のテーマは、「監視カメラ」です。監視カメラ、つけただけで安心していませんか。上手に運用できなければ、宝の持ち腐れになってしまいます。ここ数年で録画装置の性能は、めざましく向上しました。ネットワークに接続することで、遠隔での録画映像の確認や設定変更も可能になっています。今回は、監視カメラの運用にあたって知っておきたい知識を解説します。

国民40人に対して1台の時代

今日、監視カメラは銀行やコンビニだけでなく、一般企業の受付・事務所や、公共機関・学校・店舗・商店街等、街中で多く見かけるようになりました。現在日本国内に設置してある監視カメラの台数は、約330万台といわれています。国民一人当たりの監視カメラ台数が世界一のイギリスは、約430万台です(出典:2009年8月16日 日本経済新聞)。

日本は国民40人に対して、カメラ1台の割合です。イギリスでは国民14人に対して1台となりますが、首都ロンドンにいたっては、人口750万人に対してカメラ台数が100万台以上です(出展:2009年8月24日BBCニュース)。国全体カメラ数の4分の1が集まっており、7人に1台という高い割合で、街中が監視カメラであふれているイメージではないでしょうか。

これらのカメラ設置の目的としては、「犯行の未然防止」と「証拠映像の記録」です。計画的な泥棒は犯行におよぶ前に、現場の下見は欠かしません。犯行の証拠が残る監視カメラを適切に設置しておけば、犯行を断念させ未然防止が期待できます。また、万が一事件が発生した場合、姿格好・犯行に用いた車両等といった、証拠映像から犯人を特定できる可能性が高まります。

色々なカメラシステム

一昔前のカメラシステムは、設置先でしかカメラ映像を見ることができなかったのですが、ここ数年で録画装置の性能が向上し、ネットワークに接続することで、遠隔での録画映像の確認や設定変更も可能になっています。

全国に展開する大企業では、各拠点のカメラ映像や録画データを、ネットワークを介して専門のセンターで集中管理を行う、ネットワーク型のカメラシステムを導入しているところが増えてきました。このカメラシステムの導入メリットとしては、運用状況をセンターでまとめて管理ができるので、各拠点での負担を減らすことができるという点です。

また、警備会社で遠隔画像監視を行うシステムの場合は、警備監視専用のカメラを設置する場合と、既存のカメラ画像を警備の監視センターで確認できるように組み込むパターンがあります。警備会社とのオンライン化により、カメラの故障も監視センターで検知することも可能なので、管理体制の強化につながります。

しかし、ネットワーク対応や、警備会社のサービスを契約するケースは、まだ普及率は低く、ローカル仕様のカメラシステムがまだまだ多い様ですので、監視カメラの管理責任者が、適切に運用管理を行う必要があります。

そこで、運用上おさえておきたいポイントを3点紹介いたします。

①録画映像は「個人情報」である前提で管理をする
録画装置は、外部の人間が出入りすることが無い事務所・警備室等に、据え置きで設置されていることが多いかと思います。大抵管理責任者以外は手を触れないと思いますが、それ以外の人が装置を操作出来てしまう環境になってはいませんか。また、ネットワーク対応の場合は、接続権限が必要最小限となっていますでしょうか。

録画装置に保存されている、個人が識別できる録画映像は「個人情報」です。その映像が関係者以外や社外に漏えいしない対策を確認しましょう。

経済産業省の個人情報に関するガイドラインでは、個人情報に該当する事例として、「防犯カメラに記録された情報等本人が判別できる映像情報」が記されています。ということは、録画装置に記録された映像は、不特定多数の個人情報の集合である可能性が高いと言えます。悪意のある人間が意図的に映像を流出させてしまえば、肖像権の侵害やプライバシーの侵害になってしまいます。

地方自治体や住民団体が管理する録画映像は、定められた要領が存在します。例に挙げますと、施錠可能な収納(ラック等)に機器一式を保管し、不特定の人間が撮影映像を見ることはできないようにしてあります。ラックを開錠する場合は、管理担当者が2名以上で立ち会わなければならないようです。

ラックの設置には、手間も費用もかかるので、これから設置を行う必要がある場合は、今出来る最低限の対策は行いましょう。

・録画装置の「操作ロック機能」を活用して、関係者以外の操作を制限する。
・ビデオテープに録画している場合、録画済のテープは施錠された場所に保管する

「操作ロック機能」は、業務用の録画装置にほぼ付いている機能で、本体のボタン操作が一切効かなくなります。操作ロック設定時に暗証番号を設定できるタイプと、特定の鍵を抜き差しするタイプがあります。

これで意図的な操作防止ができますし、万が一物や体がボタンに当たって録画停止になってしまうケースも防ぐことができるので、必ず設定を行いましょう。

さらに、録画済みのビデオテープの取り扱いについて。録画装置がビデオデッキ型のものは、ハードディスク内蔵型と比べて安価なため、今でも使っている方は多いようです。通常の120分ビデオテープで、長時間(数日~数週間)録画可能な、特殊なビデオデッキで録画していると思いますが、通常のビデオデッキでもコマ送りで再生すると映像が確認できてしまいますので、施錠保管をして、複数あればナンバリングをして管理しましょう。

またビデオデッキ型は、長く使うと中でテープが絡まったり、磁気媒体である為録画映像も劣化してしまいます。テープの管理がなくなる、ハードディスク内蔵型のレコーダーへの交換も検討するとよいでしょう。


②録画設定の確認について
録画設定は、カメラシステムを設置した際に、メーカや設置業者に設定をしてもらいますが、運用を開始した後、自分たちの用途に合わせた、適切な設定であるかどうかの確認と設定を行えるようにしましょう。

なめらかな動画で保存すると、数週間~数ヶ月の長期連続録画はできません。録画期間を長くするには、保存コマ数や画像を少なくする必要がありますが、あまり少なくすると、2~3秒に1コマで画質も悪いものになってしまいます。

録画映像の一秒間あたりの保存コマは、早い動きを捉えることを考慮すると、一秒間あたり2~3コマ程度が目安です。保存画質は、誰が写っているのか分からない映像では困るので、録画映像の映りを確認して選択しましょう。

録画可能時間は、ビデオテープ形式で、一秒間に2コマの録画であれば、約一週間程度の連続録画が可能です。それ以上の期間を録画する場合は、ハードディスクレコーダーの出番となります。数ヶ月の長期にわたって録画が可能です。

録画期間はこれといった決まりは無いのですが、例えば会社であれば長期休暇中の映像が残せる期間(1~2週間以上)を目安にしてはどうでしょうか。

他のケースをご紹介すると、地方自治体が補助金を出して設置した場合は、運用要領が明確に定められています。それによると、保存期間は1、2週間や1ヵ月です。そして期間が過ぎた映像は破棄します。また、マンションによっては、組合で数ヵ月~数年間保管し続けるケースもあります。


③カメラ映像のチェック要領

リアルタイムの撮影映像は、モニターを設置しておき、管理責任者がいつでも見ることができるのが望ましいです。映像が映っていないカメラの発見はもちろん、映像の乱れ・色の以上等、不鮮明な状態を早めに発見して修理保守の手配ができるからです。

ただし、機器が設置してある管理室・受付等が通常無人で、近くに人がいない場合や、プライバシー保護の観点から、自由に映像を見ることができないケースもあります。

カメラを接続している機械には、カメラからの映像が来なくなると、本体からアラート音を出す機能がありますので、画像を見なくともカメラ故障を発見するために活用しましょう。

誰かがアラート音に気づける環境ではなければ、前述した不鮮明な状態の確認も含め、週一回程度の間隔で、機器の確認をする必要がありますが、その場合、素早い対応は難しく、数日間もカメラが写っていないのを発見できない場合があります。

機械警備を契約してあるのであれば、カメラ故障の発生を自動的に警備会社の監視センターに通報することも可能なので、警備の担当営業の方と検討してみてはどうでしょうか。

おわりに

今回は、自分の会社に設置してある監視カメラシステムを、対象例にしたお話でした。例えばマンションに住まわれている方は、大抵監視カメラが設置されていて、管理組合で運用されているでしょうから、前述のポイントを当てはめ、組合の集会時などに確かめることをお勧めいたします。

今後監視カメラは、どんどん高解像度の映像を劣化の無いデジタルで長時間保存が可能なタイプが主流になってきます。録画映像は、顧客情報のデータ等と同様に、個人情報を含む重要なデータです。

既に流出した監視カメラの映像が、インターネットの動画サイトにアップロードされたり、週間誌に掲載されたケースがあります。映像データの情報漏えいを未然に防ぐための、情報セキュリティ対策を視野に入れながら、適切な管理をおこなっていきましょう。


 

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この記事の著者

糸永 広昭(イトナガ ヒロアキ)

1996年ALSOK入社。常駐警備で警備の基礎を学んだ後、技術部門へ
転属。警備システムの設計・構築を、個人邸や一事務所から工場・
ショッピングセンター・大規模研究施設等、様々な規模で行ってき
た経験がある。

2008年より、物理セキュリティが主流の警備業界おいて...

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