防衛装備庁が参考にしたことで注目高まる「NIST SP800-171」 企業が倣う際に着目すべき要点
2024年春公開の最新バージョン「Rev 3.0」の追加要件も解説
公開目前のSP800-171 Rev 3.0の動向を分析
ここまでの説明にあったSP800-171は、すべてRev 2.0の内容を前提としている。最後に内海氏は、まもなく公開となるSP800-171 Rev 3.0(2024年初頭予定)の動向について触れた。まだ正式版は公開されていないものの、2023年11月に出たFPD(Final Public Draft)版によれば、従来の14ファミリーに、「計画」「システムとサービスの調達」「サプライチェーンリスクマネジメント」の3つのファミリーが追加されることがわかっている。追加ファミリーがこれから強化するべき領域を指しているとすれば、これまで以上にサプライチェーンリスクへの対策に力を入れる必要が出てきそうだ。
また、Rev 2.0からRev 3.0で要件項目数がどうなるかも気になるところだ。これは110項目から95項目に減るとわかっているという。ただし、よく読むと、以前は1つの要件項目に1つの管理項目だったものが、1つの要件項目に複数の管理項目が対応する改訂になっている。管理項目数は全部で266個にもなり、以前と比べて必要な対策は142%増しになってしまう。正式版が出てきた時に確認しなくてはならないが、新しい対策を講じるための負担は増加すると内海氏はみている。
一方、負担が軽減する可能性が見えてきたのが暗号化である。該当する要件の記述からFIPS暗号化の指定がなくなっており、内海氏は「クライアントをサポートするプロジェクトでは、FIPS準拠かどうかを確認する作業の負荷が大きい。たとえば、組織内のセキュリティポリシーで暗号化のガイドラインを定め、それに準拠すればいいのであれば助かる」と見解を述べた。取引先を含めたサプライチェーン全体のセキュリティ対策が必要になるほど、SP800-171の重要性は高まる。正式版の公開が待たれる。
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冨永 裕子(トミナガ ユウコ)
IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...
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