AIを使って人間の創造性を引き出す“今までにない挑戦”
「AIが人間の創作活動に入ってくるとは、一体どういうことなのか」──森氏がこの問いを深く考えるようになったのは、2018年頃のことだという。当時、楽天でAI・ビッグデータの研究開発をリードしていた森氏は、AIがクリエイティブの領域に進出するのを予見し、「Creative AI」として提唱していた。
2022年、Stable DiffusionやMidjourneyをはじめとする生成AIの登場で、森氏の予想は想像を上回る形で現実のものとなった。AIは人間の創造性にどのような影響を及ぼすのか──森氏はこの問いに、今こそ納得のいく答えを出したいと思ったという。
博報堂DYホールディングスを選んだのは、以前から交流のあった同社CTO安藤元博氏との議論がきっかけだった。「創造性とは、互いに影響し合うことで引き出される。AIの機能を得て初めて発揮される人間の創造性があるはずだ」。長くこの領域で活躍する安藤氏の言葉には、説得力があった。
森氏が具体的なモデルや学術的な裏付けを提示すると、二人の議論はさらに白熱。AIと人間の知恵が混じり合うようなプラットフォームを築くことができれば、その上で繰り広げられる人間同士のコラボレーションは、これまでとはまったく違ったものになるだろう。広告の創作プロセスも大きく変わるはずだ。これまで情報を受け取る一方だった生活者が、制作に参加することもあり得る。これまでにないビジネスモデルをも生み出せるかもしれない。
「私たちが目指すのは『人間中心のAI』。これは、AIを作業の補助役として使うのではなく、AIの力を借りて人間の創造性を引き出し、新たなコラボレーションや魅力的なクリエイティブを生み出すことを意味します。今までにない挑戦であり、精鋭のクリエイターと膨大なノウハウを有する博報堂DYホールディングスだからこそ、できることだと思っています」(森氏)
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