AI時代の勝敗を分ける「データ・組織・文化」の課題をQlikに尋ねる──日本企業の変革を握る鍵とは?
Qlik シニアディレクター / マーケットインテリジェンスリード Dan Sommer氏

データの統合・品質・分析を支援するソリューションを提供し、企業の「データに基づく意思決定」を支えるQlik。ハイブリッド・マルチクラウド環境のサポートや、様々な環境でのシームレスなデータ活用の支援、そして最近では、OpenAIコネクタなど、生成AIとの連携機能も提供している。2024年3月には、同社初の日本データセンターも開設した。生成AIが登場し、データがより企業の競争力を左右する時代……国内外の生成AI活用の現況、AI時代のデータ活用の課題、そしてQlikが目指す姿について、同社のシニアディレクター / マーケットインテリジェンスリードであるダン・サマー(Dan Sommer)氏に話を伺った。
日本企業の生成AIに対する姿勢は「米国とEUの中間」
生成AIの導入が世界中の企業で進んでいるが、日本とそれ以外の国・地域では、その様相に何か違いはあるのだろうか。あるいは、産業や業種ごとに異なる傾向があるのだろうか。サマー氏はあくまで個人的な見解としつつも、現在の動向について説明した。
まずは米国。米国企業は全体的に生成AIの導入に積極的で、予算も社内で十分に確保されている場合が多い。ただ、グローバルで事業を展開する企業は規制や法律への対応に慎重になる傾向があるため、まだ社外向けの製品化はせず、社内での利用にとどまっているケースが多いという。Qlikの社内でも、プライベートでLLM(大規模言語モデル)が利用されてはいるものの、それを外部向けの製品にはしていないようだ(取材時点)。

ダン・サマー(Dan Sommer)氏
チャットボットをはじめとする顧客対応サービスは、既に様々な企業が独自サービスを開発して展開している。ただ、意外にも多くの企業は「生成AIによるサービスは、まだまだ顧客満足度において課題がある」という見方をしているとサマー氏。さらにEUの企業では、早期から敷かれた法律や規制が障壁となり、技術導入が遅れている様子も見られるという。
では、日本はどうだろうか。サマー氏は、「日本企業の生成AIに対する姿勢は、米国とEUの中間のような立ち位置だと感じます。セキュリティやプライバシーには敏感な一方、『生成AIへの躊躇が、競争力で遅れをとることにつながるのでは』と懸念しており、現在議論が進んでいる状況ではないでしょうか」と分析した。
生成AIの導入においては、初期から経営トップがリーダーシップをとり“トップダウン”で導入を推進している企業と、一部の社員やチームが起点となって始まる“ボトムアップ”での導入を進めている企業の2パターンが主に見られる。正しいアプローチはどちらか。
トップダウンかボトムアップかは、それほど固執する問題ではない……これがサマー氏の答えだ。「生成AIがどう優れた技術なのか、どう活用するのが自社にとってベストなのかを、組織の誰もが理解することが重要です。それさえクリアできれば、トップダウンでもボトムアップでも、きっと成果を出すことができるでしょう」と同氏は述べた。
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森 英信(モリ ヒデノブ)
就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務とWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業した。編集プロダクション業務では、日本語と英語でのテック関連事例や海外スタートアップのインタビュー、イベントレポートなどの企画・取材・執筆・...
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