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SAP Sapphire 2024で新展開、Jouleが「RISE with SAP」導入プロジェクトを支援

「SAP Sapphire & ASUG Annual Conference 2024」レポート

 現地時間6月3日から5日までの3日間、SAPは米フロリダ州オーランドで年次カンファレンス「SAP Sapphire & ASUG Annual Conference 2024」を開催した。今年のSapphireへの現地参加が12,000名超、オンライン参加が15,000名。日本からも総勢300名が参加し、コロナ前に戻ったような活況を示した。

強化されたRISE with SAP

SAP Chief Executive Officer クリスチャン・クライン氏
SAP Chief Executive Officer クリスチャン・クライン氏

 企業におけるCIOの位置付けは、DXブームの前後で大きく変化した。今では他のCxOからビジネス変革のリーダーとみなされており、新しいテクノロジーの導入で迅速な成果を上げるという大きなプレッシャーにさらされている。しかし、新しいテクノロジーの導入だけで、効率が向上したり、成長が加速したりするというのは希望的観測に過ぎない。もっと重要なのは、変化に柔軟に対応できる組織能力の方である。

 生き残るためには変革が必要だと誰もがわかっているが、実際には抵抗の大きさで妥協することも少なくない。この妥協は、複雑で調和のないビジネスプロセスにつながるため、長期的な成長を損ねる。ERP導入でも、その後のアップグレードが難しくなり、費用負担も大きくなる。変革に伴う痛みを緩和し、最新テクノロジーをすぐに活用できるようにしようと、SAPが2021年から提供を始めたのがRISE with SAPである。

 4日のOpening Keynoteに登壇したCEOのクリスチャン・クライン氏は「RISEはビジネスモデルの再設計に重点を置き、業界のベストプラクティスを適用するビジネス変革のためのソリューションになる。エンドツーエンドのプロセスを簡素化し、クリーンコアへの移行を促す」とした。クリーンコアの原則は、クラウド上のERPを常に最新のリリースで維持し、アップグレードプロジェクトなしで、すぐに生成AIのような新機能を利用できる。クライン氏によれば、「すでに6,000社以上のお客様がRISE with SAPを選択し、110,000社以上のシステムを稼働させている。RISEのお客様はERPアップグレードのサイクルタイムとコストを30%低減し、85%のビジネスプロセス標準化に成功している」という。

 そして、SAPはRISE with SAPを次のステップに進めようとしている。まず、SAP Enterprise Architectを既存および新規のRISE顧客全社に割り当てることだ。このエンタープライズアーキテクトは、移行プロジェクト全般でRISEの方法論を用いて顧客を支援する。そして、エンタープライズアーキテクトは、移行パートナーと共にプロセスの簡素化のための分析を支援する他、SAP Business Technology Platform(BTP)を標準統合プラットフォームとして利用することを促す。

 さらに、全てのRISEプロジェクトに、エンタープライズアーキテクチャー管理の「SAP LeanIX」、ビジネスプロセス管理の「SAP Singavio」、アプリケーションライフサイクル管理の「SAP Cloud ALM」を提供し、プロセス、システム、データの各レイヤーを調和させ、BTP上で管理できるようになった。

 図1:RISE with SAPで提供するソリューション 出典:SAP [画像クリックで拡大]

SAPコンサルタントとABAP開発者がJouleを利用可能に

SAP Chief Artificial Intelligence Officer フィリップ・ハーツィヒ博士
SAP Chief Artificial Intelligence Officer フィリップ・ハーツィヒ博士

 SAPが既存顧客にクラウドERPへの移行を促すのは、AIを快適に利用してもらうためでもある。2023年9月に登場した生成AIアシスタントJouleは、多くのSAP製品への組み込みが進んでいるが、速報で伝えた通り、Sapphire 2024ではRISEでクラウドへの移行プロジェクトで活用できる2種類の機能群が発表された。それが「Joule with SAP Consulting capabilities」と「Joule with ABAP Developer capabilities」になる。

 メディア向けラウンドテーブルで、ECC(ERP Central Component)からS/4 HANA Cloudへの移行を進める企業に対して、今この2種類の機能群を提供する狙いについて尋ねたところ、Chief AI Officerのフィリップ・ハーツィヒ氏は詳細を解説してくれた。まず、ECCからS/4HANAへの移行のようなプロジェクトでは、多くの点で「学び直し」が必要になるという。

 というのも、ECC 6.0の提供開始は2005年のことで、当時と今とでは前提条件が大きく変化しているからだ。そもそも、古いビジネスのベストプラクティスに基づくシステムを使い続けることは現実的ではない。企業を取り巻くビジネス環境と絶えず変化するもので、ベストプラクティスもその変化に応じてアップデートされて然るべきだ。テクノロジー視点でも、2005年と言えば、まだクラウドが登場していない頃で、他社のSaaSとの連携がスムースにできるのか、あるいはAIのような最新テクノロジーを活用できるのかが問題になってくる。ハーツィヒ氏が言及した学び直しは、多くの時間と費用が必要になるが、その負担を軽減してくれるのが前述の2種類のJouleになる。

 「Joule with SAP Consulting capabilitiesとJoule with ABAP Developer capabilitiesの2つは、相互補完関係にある」とハーツィヒ氏は解説する。これはSAP ERPの製品設計に拠るところが大きい。通常、SAP ERPの導入プロジェクトでは、SAPが提供するベストプラクティスに基づく標準機能を活用し、企業のニーズに合わせて設定を行うプロセスを「ビジネスコンフィグレーション」と呼び、標準機能ではカバーできない特殊な要件に対処するためのコードの改修を伴うプロセスを「カスタマイズ」と区別する。ビジネスコンフィグレーションを担当するのがSAPコンサルタント、カスタマイズを担当するのがABAP開発者である。どちらも移行プロジェクトに欠かせない役割で、片方だけがJolueを使えても意味がない。両方のプロセスをJouleで支援することになったのは、生成AIで移行プロジェクト全体を加速させる狙いがある。

次のページ
クラウド移行プロジェクトにJouleはどう役立つか?

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この記事の著者

冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...

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