「データ保護」と「システム可用性」は両輪で強化していくもの
岡本:これだけシステム障害の要因が多岐にわたっていると、どこから対策を始めればよいのか悩んでしまいますね。ITシステムの担当者であれば、皆さんすぐにわかるものなのでしょうか。
五十嵐:そうとも限らないです。技術トレンドや環境の変化が非常に速いIT業界ですが、「いまいち改善や進化が進んでいないのでは?」と思うようなことがあります。システム障害に関することもその一つです。有事を想定したテストを万全に行うノウハウが社内に足りていないのか、あるいは継承されていないのか。もしくは、クラウドへのシフトが進んでいるにもかかわらず、クラウドに関する必要な情報やノウハウの習得が追いついていないのかもしれません。重要なのは、最新の技術を導入することではなく、それに関するリスクや対策も含めて包括的にキャッチアップしていくことです。
岡本:いわゆる、システムの高可用性(HA)化を実現するための施策そのものは、昔から色々ありましたよね。
五十嵐:そうですね。システムの可用性を考えるなら、まずはデータのバックアップ。そして古典的な手法だと、バックアップサーバーのホットスタンバイ、フォールトトレラントシステムの活用などがあります。ただ、そうした施策のどれか一つではなく、「データを守る」施策と「業務処理能力を維持する」施策は、常に両輪で進めていかなければなりません。
岡本:まさにサイオステクノロジーは、五十嵐さんがおっしゃったような“両輪での対策”を実現する製品やサービスを提供していますよね。その代表的な製品として「LifeKeeper / DataKeeper(ライフキーパー/データキーパー)」があるかと思います。
五十嵐:LifeKeeperは、システムの障害を監視し、稼動系に障害が生じた場合には待機系に自動で切り替えを行うHAクラスターソフトウェアです。システムのダウンタイムを短縮し、皆さんのビジネス損失を最小限に抑えます。サーバーのハードやOSだけでなく、ミドルウェアやアプリケーションに障害が発生しても、別の環境で即座に起動して業務処理能力を提供できます。
また、DataKeeperを使うことで、冗長化された共有ストレージのような仕組みを使わずとも最新のデータをリアルタイムにスタンバイ側へ複製し、障害が発生してもデータを継続して利用できる環境を構築できます。つまり岡本さんがおっしゃるように、データ保護と業務処理能力の維持、双方の領域をカバーしています。
岡本:導入すれば、システム担当者にとっても対策の手間が減るほか、難易度もグッと下がりそうですね。LifeKeeperの導入が適さない領域もあるのですか?
五十嵐:Webサーバーを大量に並べて、ロードバランサーで割り振るような環境には、あまり導入されないかもしれません。導入自体は可能ですが、LifeKeeperが得意とするのは、システムやビジネスの中枢を担うコンポーネント、すなわち簡単に横に並べて分散させられないような領域です。たとえば、マスターとなるデータベースや、ERPの中枢を担う部分で処理能力の継続を図るとか。
そうした中枢の部分は、ステートレスが多いWebサーバーのような方法で冗長化を図るわけにはいきませんよね。ですから、ミドルウェアやアプリケーションで常にシステムの健全性を監視しながら、異変があればスタンバイに切り替えるといったところで、LifeKeeperが適しているのです。
岡本:そうした製品を提供するベンダーは何社かありますが、LifeKeeperの強みや特徴を挙げるとすれば、いったい何でしょうか。
五十嵐:こうした製品は、機能面においてはどれも似たり寄ったりしがちですが、LifeKeeperは「使いやすさ、導入しやすさ」という点で非常に優れていると自負しています。既に皆さんの企業で導入されている、様々な製品やシステム環境に容易に適用可能です。特殊な準備や作り込み、高度な専門知識を必要とせずに導入いただける上、GUI環境でのユーザーフレンドリーなオペレーションも可能となっております。