30以上の国・地域で事業を展開 グローバル全体でWorkdayを活用
1997年に創業した楽天。ECサイトの「楽天市場」からスタートした同社だが、現在では提供するサービスは70種類以上、事業を展開する国は30を超え、その領域は旅行、医療、保険、銀行、カード、通信など多岐にわたる。
組織の規模としては、グループ全体で約30,000人の正社員と、およそ同数の契約社員が在籍している。人事・財務の管理にはWorkdayを利用しており、採用管理、欠勤管理、報酬、タイムトラッキング、社員の学習などに加えて、日本では経費精算、米国では給与計算や福利厚生にも活用。さらには、人事・財務に特化した分析ツールである「Workday Prism Analytics」や、独自のアプリケーションを構築できる「Workday Extend」などといったソリューションによる、業務プロセスの最適化にも取り組んでいる。
楽天グループは、従業員への強い関心と多様性を何よりも重視する──。そう話すのは、同社のVice General Managerを務めるアレッシア・ディマルコ氏。「100以上の国籍の従業員が在籍する楽天グループでは、多様性や異文化理解こそが『文化の基盤』です。事業を展開する地域への密着にも注力しています。ビジネスも組織もかなりハイペースで拡大してきましたが、その信念や原則は常に私たちの根底にあり、毎週月曜日の朝礼ではCEOが直接従業員に考えを共有し、距離を縮めています」と語る。
楽天グループは、2017年にWorkdayを試験導入し、その翌年に人材管理と報酬管理の分野を中心に、グローバルで利用を開始した。2019年には活用の領域をタレントパフォーマンスや経費精算、給与管理にまで拡げ、2020年以降は採用、オンボーディングなどにも拡大。そして2022年には、機械学習(ML)により人材管理を高度化する「Skills Cloud」を導入し、Workday Prism Analyticsの活用も始めた。
ディマルコ氏は、グループ全体のHR領域を統括している。グループ最大のハブ拠点は東京の本社にあるが、もう一つの巨大なハブとして、カリフォルニア州サン・マテオにも拠点を構える。アーキテクチャやソリューション、プロジェクト管理、PMO、技術運用、報酬などの機能は、地域の事情や文化に合わせてハブごとに最適化されているという。Workdayの導入当初は社内に適切な人材が不足していたため、コンサルタントのサポートを受けていたとディマルコ氏。しかし現在では、すべての管理を社内で完結できるようになったとのことだ。