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Workday Rising

30ヵ国でバラバラだった人事プロセス……楽天は如何にしてグローバル全体でシステム統一を成し遂げたのか

一筋縄ではいかない大規模移行プロジェクト、ローカルの文化や人事制度の違いも障壁に

 Workdayは2024年9月16日~19日の期間、米ラスベガスで年次イベント「Workday Rising」を開催。その中で行われた事例セッションには、楽天グループの姿もあった。本稿では、同社でHR領域を統括するアレッシア・ディマルコ(Alessia Di Marco)氏の講演内容をレポートする。楽天グループは、いかにしてグローバル全体で統一された人事業務プロセスと、国や地域ごとの文化・制度に合わせてローカライズされたプロセスの構築を両輪で進め、実現したのか。従来、各地域の拠点が独自のシステムや手作業で行っていたプロセスを、グローバル全体でWorkdayへと移行した大規模プロジェクトの裏側が語られた。

30以上の国・地域で事業を展開 グローバル全体でWorkdayを活用

 1997年に創業した楽天。ECサイトの「楽天市場」からスタートした同社だが、現在では提供するサービスは70種類以上、事業を展開する国は30を超え、その領域は旅行、医療、保険、銀行、カード、通信など多岐にわたる。

 組織の規模としては、グループ全体で約30,000人の正社員と、およそ同数の契約社員が在籍している。人事・財務の管理にはWorkdayを利用しており、採用管理、欠勤管理、報酬、タイムトラッキング、社員の学習などに加えて、日本では経費精算、米国では給与計算や福利厚生にも活用。さらには、人事・財務に特化した分析ツールである「Workday Prism Analytics」や、独自のアプリケーションを構築できる「Workday Extend」などといったソリューションによる、業務プロセスの最適化にも取り組んでいる。

 楽天グループは、従業員への強い関心と多様性を何よりも重視する──。そう話すのは、同社のVice General Managerを務めるアレッシア・ディマルコ氏。「100以上の国籍の従業員が在籍する楽天グループでは、多様性や異文化理解こそが『文化の基盤』です。事業を展開する地域への密着にも注力しています。ビジネスも組織もかなりハイペースで拡大してきましたが、その信念や原則は常に私たちの根底にあり、毎週月曜日の朝礼ではCEOが直接従業員に考えを共有し、距離を縮めています」と語る。

 楽天グループは、2017年にWorkdayを試験導入し、その翌年に人材管理と報酬管理の分野を中心に、グローバルで利用を開始した。2019年には活用の領域をタレントパフォーマンスや経費精算、給与管理にまで拡げ、2020年以降は採用、オンボーディングなどにも拡大。そして2022年には、機械学習(ML)により人材管理を高度化する「Skills Cloud」を導入し、Workday Prism Analyticsの活用も始めた。

 ディマルコ氏は、グループ全体のHR領域を統括している。グループ最大のハブ拠点は東京の本社にあるが、もう一つの巨大なハブとして、カリフォルニア州サン・マテオにも拠点を構える。アーキテクチャやソリューション、プロジェクト管理、PMO、技術運用、報酬などの機能は、地域の事情や文化に合わせてハブごとに最適化されているという。Workdayの導入当初は社内に適切な人材が不足していたため、コンサルタントのサポートを受けていたとディマルコ氏。しかし現在では、すべての管理を社内で完結できるようになったとのことだ。

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日本の新卒一括採用にも適応、「ローカル&グローバル」でパイプライン管理を高度化

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務とWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業した。編集プロダクション業務では、日本語と英語でのテック関連事例や海外スタートアップのインタビュー、イベントレポートなどの企画・取材・執筆・...

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