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Workday Rising

40以上のHRシステムが混在したコカ・コーラ なぜ全従業員データのリアルタイム把握・活用が可能に?

従業員の成長・成果の測定から将来予測までが可能に……散在するデータとシステムをどう統合したのか

 90以上の国・地域で事業を展開するThe Coca Cola Company。2017年時点では40以上のHRシステムが混在し、従業員に関するデータがバラバラに管理されていたというが、今ではデータドリブンで戦略的な人材マネジメントを実現している。いったい、どのような取り組みが行われたのか。米ラスベガスで2024年9月に開催された年次イベント「Workday Rising」にて、その全容が明かされた。

40以上のHRシステムが混在……データの一元管理で全従業員を「リアルタイムで正確に」把握する

 90以上の国・地域に8つの事業部門を置き、1万8000人以上の従業員を抱えるThe Coca Cola Company(以下、コカ・コーラ)。同社がWorkdayの導入を決断した2017年当時は、40以上のHRシステムが混在する複雑な環境だった。

 アラン・ブランコ氏(Senior Director, HR Technology & Platforms)は当時について、「人事の基本情報管理には5つのシステム、給与計算では地域別に8つのシステム、福利厚生管理では6つのシステム、さらにタレントマネジメントシステムは4つ、採用管理システムは7つ、勤怠管理システムは5つ、加えて各地域独自の人事系システムが10以上存在していた」と振り返る。

 「当時、私たちは『すべての従業員を正確に把握する』ことに課題を抱えていました。たとえば、ある社員が会社の中でどんな役割を果たしているのか知りたくなった時、基本的な社員情報はWorkdayの中にあるものの、コーチングに関するデータは別のシステムに、表彰に関するデータはまた別のシステムに存在しているといった状況だったんです。そこで、すべてのデータを一元管理する必要性に気付き、包括的な従業員プロファイルの構築を目標に掲げました」(ブランコ氏)

Senior Director, HR Technology & Platforms, The Coca Cola Company アラン・ブランコ(Allan Blanco)氏
Senior Director, HR Technology & Platforms, The Coca Cola Company
アラン・ブランコ(Allan Blanco)氏

 同社は従業員データの一元管理によって、グローバル全体の人材をリアルタイムで可視化し、データに基づいた戦略的な意思決定を実現するためにWorkdayの導入を進めていった。2017年には「Workday HCM」「Workday Recruiting」「Workday Time Tracking」を導入し、2021年には「Workday Prism Analytics(以下、Prism)」を採用した。その後は「Workday Journeys」なども加え、現在進行形でプラットフォームの充実を図っている。

 「社内には“生きたデータ”が豊富に蓄積されていたものの、これまで十分な活用ができていなかった」とブランコ氏。このデータをビジネス資産として活用し、競争力に変えていくことを目指しているという。

 「近年、AI技術が急速に発展しており、新たな働き方やビジネスの可能性も浮上してきていますが、結局のところ、すべての基盤となるのは『質の高いデータ』なのです」(ブランコ氏)

 分析によって理解を深め、知識となり、最終的に知恵へと発展させる。活用できるデータの存在は、このプロセスの出発点だ。データが活用できる状態でなければ、適切な意思決定にはたどり着けない。

 もちろん、データの活用にはプライバシーやセキュリティ上のリスクも伴う。コカ・コーラにおけるWorkdayの効果的な運用も、データ基盤を整えるための環境・原則によって守られているという。どういうことか。

 セキュリティにおいては、Workdayのセキュリティモデルを活用し、データの安全性を確保している。「マネージャー、従業員、人事担当者、役員、社長など、各階層の役職に応じてデータアクセスの権限が設定されており、データの不正利用を防ぐための徹底した管理体制が整えられている」と、エイダン・ホーイ氏(Senior Director – Workday Global Platform Owner)は説明する。このセキュリティモデルは、Workdayでのデータ表示やサードパーティシステムからのデータ取り込みにおいても、重要な役割を果たしているとのことだ。

 また、データの整合性も重要であり、提供する情報の正確性や信頼性には細心の注意を払っているとホーイ氏。データは、必ず正しい入力が確認された後に「利用可能」となるプロセスが設けられており、アクセス権のほか、サードパーティからのデータ取り込みの頻度も厳密に管理されている。Workdayと外部のデータを統合し、レポートやダッシュボードに反映させることで、正確で包括的な情報提供を実現しているという。

 目標である従業員プロファイルの統合については、「たとえば、私たちはいくつかの異なる学習管理システム(LMS)を利用しているが、それらすべての学習コンテンツをWorkdayに取り込んでいる」とホーイ氏。そのため、トレーニングや成熟度の観点からも従業員の状況を把握できるようになっているとのことだ。

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スキルトレンドや従業員の成長・成果を測定、将来予測まで可能に

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務とWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業した。編集プロダクション業務では、日本語と英語でのテック関連事例や海外スタートアップのインタビュー、イベントレポートなどの企画・取材・執筆・...

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