戦略の2本柱「クラウドファースト」と「パートナーファースト」
データウェアハウス(DWH)の老舗として知られるテラデータ。1979年の創業以来、長く企業のデータ活用をサポートするリーダーとしての役割を果たしてきた。しかし、ビッグデータから現在のAIブームに至る過程で、新規参入のベンダーが加わると競争環境は激化。2019年には、ハードウェアの売り切り型ビジネスから、ソフトウェアのサブスクリプションビジネスへと、成長に向けて大きな戦略転換を決断した。
イベント2日目にあたる、10月8日朝の基調講演に登壇したスティーブ・マクミラン氏(社長兼CEO)は、2020年6月の現職就任以来、同社がソフトウェアの会社として「クラウドファースト」と「パートナーファースト」の2つを柱に変革を続けてきた過去4年間を振り返った。
現在、同社の主力製品はTeradata Vantage(以降、Vantage)。Vantageは、企業のコンピューティング環境がパブリッククラウドでも、プライベートクラウドでも、オンプレミスでも、あるいはハイブリッドクラウドやマルチクラウドでも、すべてのデータ資産を活用できるように設計されていることが特徴だ。パブリッククラウドの場合は、AWSやGoogle Cloud、Microsoft Azureに対応している。今回のイベントで、マクミラン氏をはじめとした幹部全員が強調していたのは、「オープンで、接続性の高いデータプラットフォーム」を提供することだ。
この背景には、企業のデータ活用ニーズの多様化がある。企業内のシステム環境は複雑化しており、データは多くのシステムに散在。構造化データだけでなく、テキストや音声、動画などの非構造化データを利用したいとの需要も高まっている。たとえば、テラデータの主要顧客である金融機関の場合、ミッションクリティカルなワークロードと一般的なワークロードを分けて処理したいニーズもあるという。また、企業内でデータに関わる人たちが使いたいツールや手法も多岐にわたる。だからこそ、同社はVantageを“あらゆるデータニーズ”に対応できるようなオプション機能を提供するプラットフォームにしたいと考えた。
そこで、現在のテラデータが特に注力している、Vantageの機能が以下の2つである。
- ClearScape Analytics:Vantageプラットフォームに組み込まれたアナリティクスエンジンであり、AI/MLのライフサイクルをエンドツーエンドで管理する仕組みを提供する
- Query Grid:データ統合機能を提供するデータファブリック。クラウドとオンプレミス環境に分かれている場合、あるいは異なるパブリッククラウド環境に分かれている場合でも、必要なデータへとアクセスするための仕組みを提供する