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「Copilot for Microsoft 365」を使いこなす

「Excel/PowerPoint Copilot」の使い方──有用性はとても低い?作業別に詳細解説

「Copilot for Microsoft 365」:Excel/PowerPoint Copilot編

①データの加工

 まずは、「データの加工」についてです。Excelでデータの加工をする際には、一般的には以下のような操作が挙げられます。

  • 複数のテーブルの結合
  • データの分割や統合
  • 複雑な条件分岐を含む関数計算、数式の作成

 一方、Excel Copilotがサポートできる操作は「基本的な関数計算のサポートや数式の作成」に限られています。たとえば、「A列の値とB列の値を結合したものをC列に追加して」といった基本的な指示には対応できますが、「テーブルAとテーブルBを結合して」といった指示には対応できません。つまり、データ加工に関しては、ほぼ何もサポートできないのです。

 ここで、Excel Copilotと一緒にデータ加工を行う場合の処理時間と、人間によるデータ加工の処理時間を比較してみましょう。

 今回は、とある架空の企業の営業実績データを使用します。データには日付、顧客名、営業担当者、商品カテゴリー、販売数値、販売単価、売上金額の列があります。Excel Copilotにできることが基本的な関数式の提案に限られているため、関数を使用する作業で今回は比較しましょう。

 それでは、「チーム名の列を用意したうえで、営業担当者の名前に基づいてチーム名を付与する」場合で比較してみましょう。

 プロンプトで「チーム名の列を用意したうえで、営業担当者の名前が、荻野、田中の場合は1、山田、井上の場合は2、鈴木、佐藤の場合は3とフラグ付けを行ってください」と指示をしたところ、正しくチーム名のフラグ付けを行ってくれました。

[画像クリックで拡大]

 Excel Copilotを用いて上記の操作を行う場合と、人間が同じ操作を行う場合で比較をしたところ、人間のみのほうが4倍速いという結果になりました。なお、Excel Copilotの場合は、1回の指示(プロンプト)で期待通りの操作をしてくれない可能性も高く、その場合は調整・修正にさらに時間を要します(以下、同様)。

Excel Copilotを使用した場合
No. アクティビティ 時間(秒)
1 Excel Copilotを起動する 7秒
2 プロンプトを考える 30秒
3 プロンプトを打ち込む 108秒
4 出力を待つ 22秒
5 出力結果を確認する 10秒
6 「列の挿入」ボタンを押す 5秒
合計 182秒
人間が同じ動作を行う場合
No. アクティビティ 時間(秒)
1 列を挿入する 5秒
2 数式を書く 30秒
3 表の最後の行のセルまで数式をコピーする 5秒
合計 40秒

②データの抽出

 次にデータの抽出についてです。Excelにてデータの抽出をする際には、一般的には以下のような操作が考えられます。

  • フィルター操作によるデータの絞り込み
  • 条件付き書式によるデータの抽出
  • VLOOKUPなどの関数を使用したデータ検索

 一方でExcel Copilotがサポートできる機能は以下に限られています。

  • フィルター操作による複雑でないデータの絞り込み
  • データの並び替え
  • データの強調表示

 たとえば、「売り上げが100万以上の顧客を抽出して」といった指示には対応できます。また、「〇〇の列を××の値に基づいて強調表示して」と指示すると、特定の条件に基づいてセルの色付けを行ってくれます。しかし、「過去3年間の売上金額のデータと顧客属性を組み合わせて、成長率の高い顧客セグメントを抽出して」といった複雑な抽出指示には対応できません。また、複雑な条件付き書式やシート横断での読み取りなどにも対応できません。あくまでも基本的な絞り込みや並び替え、強調表示にとどまり、それら以外の作業などのサポートはできないのです。

 ここでデータの抽出についても、Excel Copilotと一緒にデータ加工を行う場合と人間のみによるデータ加工の処理時間を比較してみましょう。Excel Copilotでは「データの絞り込み」「並び替え」「強調表示」の作業ができるため、この3つで比較を行います。

1. 商品カテゴリーの列にて「カテゴリーZ」だけに絞り込む場合

 まずは、フィルター操作による絞り込みです。プロンプトで「商品カテゴリーの列において、カテゴリーZだけのデータに絞ってください」と指示したところ、カテゴリーZだけに絞ってくれました。

[画像クリックで拡大]

 Excel Copilotを用いて上記の操作を行う場合と人間のみが同じ操作を行う場合で比較をしたところ、人間のみのほうが10倍以上速いという結果になりました。

Excel Copilotを使用した場合
No. アクティビティ 時間(秒)
1 Excel Copilotを起動する 7秒
2 プロンプトを考える 15秒
3 プロンプトを打ち込む 54秒
4 出力を待つ 13秒
5 出力結果を確認する 5秒
6 「適用」ボタンを押す 5秒
合計 99秒
人間が同じ動作を行う場合
No. アクティビティ 時間(秒)
1 フィルターをかける 3秒
2 フィルター内のボックスにて「カテゴリZを選択する」 5秒
合計 8秒

2. 販売単価が高い順に並び替える場合

 次に並び替えです。プロンプトで「販売単価が高い順に並び替えてください」と指示したところ、降順で並び替えてくれました。

[画像クリックで拡大]

 しかし、こちらもExcel Copilotを用いて上記の操作を行う場合と人間が同じ操作を行う場合で比較をしたところ、人間のみのほうが10倍以上速いという結果になりました。

Excel Copilotを使用した場合
No. アクティビティ 時間(秒)
1 Excel Copilotを起動する 7秒
2 プロンプトを考える 10秒
3 プロンプトを打ち込む 30秒
4 出力を待つ 11秒
5 出力結果を確認する 5秒
6 「適用」ボタンを押す 5秒
合計 68秒
人間が同じ動作を行う場合
No. アクティビティ 時間(秒)
1 降順にしたい列を選ぶ 1秒
2 フィルター内のボックスにて「降順」を選択する 3秒
合計 4秒

3. 売上金額が50,000を下回っているセルを強調表示する場合

 最後に強調表示です。「売上金額が50,000を下回っているセルを強調表示してください」と指示したところ、該当するセルを黄色で塗りつぶし強調してくれました。

[画像クリックで拡大]

 こちらもExcel Copilotを用いて上記の操作を行う場合と人間が同じ操作を行う場合で比較をしたところ、人間のみのほうが約5倍速いという結果になりました。

Excel Copilotを使用した場合
No. アクティビティ 時間(秒)
1 Excel Copilotを起動する 7秒
2 プロンプトを考える 10秒
3 プロンプトを打ち込む 52秒
4 出力を待つ 10秒
5 出力結果を確認する 5秒
6 「適用」ボタンを押す 5秒
合計 89秒
人間が同じ動作を行う場合
No. アクティビティ 時間(秒)
1 フィルターをかける 3秒
2 数値フィルターで「指定の値以下」を選択 3秒
3 数値フィルターにて50,000を入力 5秒
4 OKを押下 1秒
5 絞り込まれた行に対して範囲選択をする 3秒
6 ホームの「塗りつぶしの色」で黄色を選択 3秒
合計 18秒

③データの集計・表示(グラフ化)

 続いてデータの集計・表示(グラフ化)についてです。Excel Copilotがサポートできる機能は以下に限られています。

  • 簡単なピボットテーブルの作成
  • 基本的なグラフの作成

 たとえば、「月別売上をグラフ化して」といった指示には対応できます。また、ピボットテーブルの作成も可能です。しかし、「3年分の四半期データを、商品カテゴリー別・顧客別にクロス集計し、前年の同四半期からの増減を色で表現したヒートマップを作成して」といった複雑な分析・グラフ化を行うことはできません。この場合、クロス集計自体はできましたが、ヒートマップの作成はできませんでした。あくまでも簡易的なピボットテーブルやグラフの作成にとどまり、カスタマイズ性は低いです。

 それでは、データの集計・表示(グラフ化)についても、Excel Copilotと一緒にデータ加工を行う場合と人間のみがデータ加工を行う場合の処理時間を比較してみましょう。まずはCopilotに「商品カテゴリー別の合計売上金額を示す棒グラフを作成してください」と指示したところ、指示通りの棒グラフを作成してくれました。

[画像クリックで拡大]

 こちらもExcel Copilotを用いて上記の操作を行う場合と人間が同じ操作を行う場合で比較をしたところ、人間の動作のほうが5倍以上速いという結果になりました。

Excel Copilotを使用した場合
No. アクティビティ  時間(秒)
1 Copilotを起動する 7秒
2 プロンプトを考える 10秒
3 プロンプトを打ち込む 48秒
4 出力を待つ 18秒
5 出力結果を確認する 5秒
6 「新しいシートに追加」ボタンを押す 3秒
7 シートの追加を待つ 3秒
合計 94秒
人間が同じ動作を行う場合
No.  アクティビティ 時間(秒)
1 「商品カテゴリー」「売上金額」の2列を範囲選択する 10秒
2 挿入タブから「おすすめグラフ」を選択する 6秒
3 「OK」ボタンを押す 1秒
合計 17秒

次のページ
概要(≒課題)まとめ

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この記事の著者

中田 元樹(ナカタ ゲンキ)

教育業界からコンサルタント転身後、データ分析を強みとし、さまざまなプロジェクトで活躍。2018年に独立。筆者が代表を務める株式会社DIK&Companyはビジネスパーソンのデータ/情報を扱う力を高める研修を提供。最近ではCopilotをはじめとした生成AI研修を多くの企業に導入しており、社員...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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