ITコンサルティング、SIビジネスに及ぶ「調達環境」の変化
野村総合研究所(以降、NRI)グループは、「シンクタンク」と「IT」という2つのケイパビリティで、コンサルティングからITソリューションまで一貫して顧客を支援できるビジネスモデルを強みとしている。そして社員の多くは、プロジェクト単位で仕事にあたっている点も特徴だ。NRIでは、従来からServiceNowが強みとしてきた「IT運用」のような領域に加えて、最近では調達や人事、受注プロジェクト管理と、ほぼ全社員が利用する領域へとServiceNowの活用範囲を広げてきたという。
調達分野でServiceNowの利用を始めたのは、“業務改革の必要性”を感じたためだ。背景にある外部環境の変化について、山本氏は下記4つの要因を挙げる。
- 専門性の高い外部人材とのコラボレーションが必要になるプロジェクトが増え、新規での取引開始までの期間を極力短くしたい
- クラウドサービスプロバイダーに代表されるメガサプライヤーの台頭で、物品調達からサービス調達への移行に対応する必要がでてきた
- サプライチェーン全体で「持続可能な社会」の実現に取り組むことが不可欠となってきた
- テレワークのような「働き方の変化」が起こったこと
こうした外部環境の変化を踏まえ、NRIは「調達プロセスの合理化」と「サプライチェーンマネジメントの高度化」を2つの柱に据えて、「調達基本改革」に着手した。
このとき問題となったのは、“サイロ化したシステム”だ。たとえば、以前まで調達カテゴリーごとに異なるシステムを使っており、これを踏襲してしまうとカテゴリーをまたがった調達に不都合が生じてしまう。この状況を改善するため、すべての調達カテゴリーを扱うことのできる調達支援システムを構築することを考えたという。
「当初は『発注ソリューションを導入すれば、問題を解決できるのではないか』と考えていたが、そうではないことがわかってきた」と山本氏は振り返る。というのも、サプライヤーとのやり取りは、発注時だけに発生するものではないからだ。発注の電子化やペーパーレス化による業務効率化に成功しても、調達部門のペインポイントであるサプライヤーとの“コラボレーションの改善”までカバーできない。こうしたポイントソリューションでは解決できないニーズに対応するため、NRIはServiceNowの導入を決めたのだった。