「受注プロジェクト管理」への導入、その先も見据える
調達と人事に続き、ServiceNow導入を進めている領域が「受注プロジェクト管理」だ。山本氏は、この領域に適用を決めた理由を3つ紹介した。
- ServiceNowにプロジェクト管理のプロダクトがあり、業務とのフィット率が高いこと
- 前述のワークフローの簡素化と同様に、1つのプラットフォーム上で個人と関係者がやるべき仕事についての進捗を共有して進めることが可能と判断したこと
- プラットフォーム上に蓄積してきたデータの活用価値が期待できること
山本氏は「調達も人事も受注プロジェクト管理に近い領域であり、他の業務と連携した使い方もできそう」と、これからのサービス開始に期待を寄せる。
最後に、3つの領域以外に導入を拡大していく可能性を鑑み、ServiceNow活用で目指している姿を紹介した。それは、1人ひとりの社員に、社内ルール手続きに精通した「バーチャル秘書」が付き、定型タスクの進行はServiceNowに任せ、社員は付加価値の高い業務に集中できるというものだ。蓄積された先人の知見にアクセスし、参考にもできる。
この実現の鍵を握るのは「データの活用」になるだろう。調達実績に関するデータ、タスクのアサイン履歴に関するデータの他、受注プロジェクト管理へのServiceNow導入が終われば、プロジェクト実績のデータも得られる。プロジェクト完了後には、振り返りのデータを蓄積するようにすれば、AIユースケースの実装にも役立ちそうだ。「それができて初めて、本当の業務改革を行うための仕組みが揃うことになるのだと思う」と山本氏は話す。
たとえば、AさんがあるプロジェクトのPMに指名されたとする。前回PMをやったのは2年前のことだ。AIアシスタントは、その2年間で変更になったPMが遵守するべき業務ルールの要点を教えてくれる。また、類似のプロジェクトを探して、今回のプロジェクトで留意するべき点も示してくれるだろう。さらに、類似プロジェクトのPMを務めた人たちに話を聞いてみたいと思ったら、アポ取りまでしてくれる。これによりAさんは、先輩たちから具体的なアドバイスを得られる。
また、調達部門のBさんが初めて調達責任者になった場合は、AIアシスタントはBさんに適したサポートを提供。調達に関する社内規程を示すことからはじまり、ある調達案件の担当に決まったら、サプライヤーリストを提供してアポ取りもしてくれる。
このように変わることで、ITプロジェクトの生産性は向上していくだろう。ServiceNowの導入範囲の拡大と利用を通じ、生産性向上に取り組む意欲を山本氏は示した。