パナソニック ホールディングス(以下、パナソニックHD)とPHP研究所は、松下電器産業(現・パナソニックHD)の創業者であり、PHP研究所の創設者である松下幸之助の理念継承を目的とした人物再現AIを開発した。
パナソニックグループは、同社の経営基本方針の基となる創業者 松下幸之助の経営理念を社員が正しく理解し、時代を超えて受け継いでいくことが重要であると考えているという。同氏から直接薫陶を受けた人物が年々少なくなる中、グループ内で創業者の理念を探究・啓発し、次の世代に継承していくことを目指し、生成AIを活用することにしたと述べている。
また、PHP研究所では、これまで創設者である松下幸之助のPHP理念(繁栄によって平和と幸福を)研究を継承、その啓発の一環として出版事業、産業教育事業を展開してきたとのことだ。その基となってきたのは、創設者自身の3,000本に上る音声資料であり、PHP研究所の研究はこのテキスト化を端緒にデジタル化を進め、その生産性を高めてきたという。
今回は、PHP研究所が保有する松下幸之助の著作物や講演・対談などの発言記録・音声データをもとに、パナソニックHDが人物再現AIを開発したとのことだ。
開発においては「責任あるAI」の考え方に基づき、著作物や映像、音声などの記録を活用して、“人の思考と話し方を究極的に再現するDigital Human”生成にチャレンジしたとしている。
また、同取り組みは、東京大学大学院工学系研究科 松尾・岩澤研究室の松尾豊教授が技術顧問を務める松尾研究所と共同で開発を行ったという。
今後、両社は松下幸之助から直接薫陶を受けた人物や松下幸之助研究者などの専門知識を取り込み、様々な状況や事例において「松下幸之助ならどう考えるのか」「松下幸之助ならどのような経営判断を行うのか」など、より深い経営面での示唆を提供できる人物再現AIを目指していくと述べている。
また、パナソニックHDでは、今回の「松下幸之助」再現AI開発を通して獲得する知見やノウハウを活かして、たとえば多様化する顧客の要望に対応できるパーソナライズドLLM(大規模言語モデル)技術など、今後の製品やサービスに応用するための研究開発を進めていくとのことだ。
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