巨大・イオングループの30もの業務アプリを順次リプレイスへ 新体制に移行し「能動的なIT部門」目指す
第34回:イオンスマートテクノロジー 専門システム運用ユニット シニアマネージャー 内藤由美さん
部下のモチベーションを急上昇させる“やる気スイッチ”探し
酒井:内藤さんって、マネージャーになるために生まれてきたような人だなと感じます。
内藤:そんなことないですよ(笑)。でも大切にしているのは、「双方向のコミュニケーション」です。週1回の部会は一方通行の連絡事項で終わらせません。Teamsを活用して、私が投げかけた質問にメンバー全員がチャットで回答する形式を取り入れています。すると驚くことに、私が思いもよらないアイデアや意見などがメンバーから次々と湧いてくるんです。「いいじゃん、いいじゃん」と言うと、どんどん発言が増えて「追いつかない!」と嬉しい悲鳴を上げることも。
こうしたアイデアを実際の提案に取り入れると、メンバーの目がキラキラと輝きます。私はこれを「ポジティブスイッチ」とか「やる気スイッチ」と呼んでいます。日々のコミュニケーションでも「この人は何がスイッチになるんだろう」と常に考えていて、反応を見ながらスイッチを探っています。
ただ過去には、スイッチを完全に読み違えて距離ができてしまったこともありました。後にリカバリーしましたが、人それぞれ思考も受け取り方も違うので、バランス感覚が大事ですよね。いろいろ失敗したり、謝ったり、「今日はもう無理だ。帰ろう」となることもありますが、落ち込むのは一晩だけと決めています。
社外の女性リーダーとの交流で「部長になりたい」と決心
酒井:内藤さんは、企業の女性リーダーの育成を支援する「NPO法人 J-Win」に参加されていますね。参加してどんなことを得られましたか?
内藤:最大の収穫は「部長になりたい」と心から明確に思えたこと。その一言に尽きるかもしれません。J-Winに参加するまでは、1ミリもなりたいとは思いませんでした。大変だし、自信がないし、私なんてと思っていたのですが、異業種の女性たちと腹を割って話して同志ができたんです。「苦手なことは思い切ってみんなに任せる。その代わり、私の強みである領域では思う存分力を発揮してやる」と、スイッチが入った瞬間でした。

IT部門に限らず上位層に女性が少ない理由を考えることがあります。もちろんITの専門知識の壁は高いですが、私のように店舗出身でもIT部門のシニアマネージャーになれるという事実が、誰かの希望になったらうれしいです。「内藤さんでもできるなら、私だって」って。
酒井:内藤さんの存在は、ロールモデルとしても重要ですね。
内藤:ロールモデルなんて恐縮で、私は「パーツモデル」になれたらいいなと思っているんです。「内藤さんのここは参考になるかも」と、部分的に見てもらえればいい。特に女性の皆さんにとって「私もやってみよう」とスイッチが入るきっかけになれたら、それが何よりうれしいです。
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酒井 真弓(サカイ マユミ)
ノンフィクションライター。アイティメディア(株)で情報システム部を経て、エンタープライズIT領域において年間60ほどのイベントを企画。2018年、フリーに転向。現在は記者、広報、イベント企画、マネージャーとして、行政から民間まで幅広く記事執筆、企画運営に奔走している。日本初となるGoogle C...
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