2025年5月16日、CyCraft Technology(以下、CyCraft)は、イベント「CyCraft Day〜日台サイバーセキュリティ成長の連携〜」を開催。同社CEO、CISOなどが登壇し、同社のビジョンやAI技術の進捗などが語られた。

(左から)CyCraft Technology Corporation CEO ベンソン・ウー(Benson Wu)氏
同社 CISO and Co-founder ペイカン・ツォン(Peikan Tsung:PK)氏
CyCraftは、今年で創業8年を迎える台湾発のサイバーセキュリティ企業。イベント冒頭、同社CEOのベンソン・ウー(Benson Wu)氏は、多くのサイバー攻撃に見舞われている台湾において、セキュリティ対策を強化するにはAIの力を借りることが必要不可欠であると語る。現在、同社では「予兆(AI to Prevent)」「強化(AI to Harden)」「対応(AI to Respond)」という3つのAI技術を活用。現在、台湾企業約300社ほか、台湾以外の国を含めた約100の政府機関などに同社のAIシステムが導入されているという。なお、台湾にある37つの銀行のうち、25行で同社のシステムが稼働しているとのことだ。
「中国などからのサイバー攻撃に日々さらされているからこそ、台湾ではサイバーセキュリティに国家一丸となって取り組む土俵ができあがっている」と同氏。その知見を日本にも還元していきたいと意欲を示した。
続いて、同社 CISOのペイカン・ツォン(Peikan Tsung:PK)氏はCyCraftにおけるサイバーセキュリティの見解とAI技術の進捗などを紹介。同社は従来、エンドポイントデバイスに関してのハッカーの検知・対応を中心に活動していたが、企業の要望に応じて、AI技術などを通してより能動的に対策できるソリューションを開発することにも注力するようになったという。現在はAIエージェントの活用も進めており、パートナー企業とともにセキュリティ対策に注力したいと語った。

また、同社では「S. E. C. U. R. E」の6つ項目を強化しているという。詳細は以下のとおり。
- Support(支援):2024年、同社のカスタマーサポートは昨年比約2,000件減の計3,473件のチケットを処理。顧客数は増加し、サービス効率が向上した
- Enhance(強化):パートナー企業向けのトレーニングサイトが第1四半期に稼働開始
- Change(変化):昨年パートナーに加わった台湾・日本・東南アジアの企業における導入事例を獲得している
- Unification(統一化):EDR、IASM、EASMをAIプラットフォーム「XCockpit」に統合。第2四半期には、オンラインドキュメントプラットフォームを新たに公開予定
- Reliability(信頼性向上):IRの顧客事例を通じて信頼を構築することに努める
- Expansion(拡大):台湾サイバーセキュリティ署が主要な422の機関にリスク調査の採用を指示。その他の機関にも順次導入予定
最後に「今後も、AIの力を活用して“戦わずして敵を倒す”状態を作り上げていきたい」とピーケー氏は意欲を示した。
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