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「自由で開かれたAIイノベーション」を守れるか?シリコンバレーで2人の博士が対談、警鐘と期待を語る

Google Brain共同設立者 アンドリュー・ン博士 × AMD会長 兼 CEO リサ・スー博士

 世界中から注目と期待を集めるAI・半導体業界。その主要プレイヤーの一角であるAMD(Advanced Micro Devices)が米国サンノゼ(カリフォルニア州)にて2025年6月に開催した年次イベント「ADVANCING AI 2025」で、2人の博士による対談が行われた。AMDを率いる会長 兼 CEOのリサ・スー博士と、Google Brainの共同設立者であり、人工知能研究の権威として知られるアンドリュー・ヤン=タック・ン博士だ。テーマは「AIの可能性を解き放つ」──両者が共通して強調するのは、オープンエコシステムの重要性だった。開発の自由を守るために、「ゲートキーパー」の登場に警鐘を鳴らすン博士。そしてスー博士は、それを支えるAMDが目指す姿を語り、やがて両者はAI時代を生きる開発者の在るべき姿について持論を交わした。

AIイノベーションを停滞させる「ゲートキーパー」の出現に注意せよ

 Google Brainの共同設立者として知られているアンドリュー・ヤン=タック・ン博士。研究者であると同時に、深層学習(ディープラーニング)分野の教育プラットフォームであるDeepLearning.AIや、eラーニングサービス Courseraの創始者でもある。近年はデベロッパー(開発者)視点でのAI活用にも注力しているようで、今回の対談では、オープンなAIエコシステムが果たす役割を軸に、開発者に向けたメッセージを発信した。

 対するAMD会長のリサ・スー博士は冒頭、聴衆に向けて「『AIの民主化』という概念の中では、皆さんこそが世界の中心である」と述べ、開発者コミュニティへの敬意を示した。そのうえで、「誰もがアクセスできるコンピュートロードマップを提供することがAMDの使命だ」と宣言した。

 実際、AMDは「ROCm(Radeon Open Compute Platform)」というオープンソースのソフトウェアスタックを通じて、AMDのGPU上でも開発者が、PyTorchやTensorFlowといったフレームワークを最小限の変更で動かせる環境を整備してきた。こうした取り組みには、ハードウェアによる“囲い込み”を避け、真に自由なAI開発の土壌を提供するという意義もあるという。

Chair & CEO, AMD リサ・スー(Lisa Su)氏
Chair & CEO, AMD
リサ・スー(Lisa Su)氏

 スー博士がインフラ提供者の視点からオープン性の意義を説いたのに対し、ン博士は開発者の視点からその背景を掘り下げた。そして、ン博士はAIスタックの構造を解説しながら、各層における「ゲートキーパー」の脅威について警鐘を鳴らした。

 「たとえば、モバイル分野のエコシステムを見てみましょう。iOSとAndroidという2つのゲートキーパーがいますよね。これらの認可を得なければ、なかなか収益化やイノベーションが許可されない世界が出来上がっています。AIの世界でも同様の構造が出来上がってしまう恐れがあります」(ン博士)

 特に、AIに欠かせない半導体の層については、「ゲートキーパーが表れる可能性が最も高い層だ」と指摘。これを踏まえて、AMDのオープンなROCmエコシステムの取り組みを高く評価した。開発者が半導体においても選択肢を持てる世界を確実にすることが、ゲートキーパーの出現を抑止するのだという。「オープン性を守らなければ、イノベーションの促進が停滞する」と、ン博士は改めて懸念を示した。

 そんなン博士が、オープンモデルの進化を象徴する出来事として語ったのが、DeepSeekとQwenの事例である。DeepSeekは、その計算能力や推論性能で注目を集めた中国発のオープンモデルだ。Alibabaが開発したQwenも、LLM(大規模言語モデル)として多くの実験的活用が進められている。「最新のDeepSeekモデルがリリースされてから数日以内に、それがすでにQwen上で蒸留されているのを見て実際に非常に興味深かった」と語るン博士。オープンソースならではの迅速なイノベーションサイクルに期待を示した。

 「現状として、Llamaのコンテキスト長を拡張する取り組みなど、コミュニティ主導の改良が次々と生まれています。こうした開放性・透明性がAIの基盤モデル層で可能にしていることは、すでにたくさんあります。この素晴らしさは守られていくべきです」(ン博士)

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AIコーディングは“完成度”よりも“スピード”、いったいなぜ?

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務とWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業した。編集プロダクション業務では、日本語と英語でのテック関連事例や海外スタートアップのインタビュー、イベントレポートなどの企画・取材・執筆・...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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