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東京ガスがITコストの「どんぶり勘定」を脱却できた理由──CIOが描く戦略的IT投資の次なるステージ

TBM Summit 25:Japanローンチイベント レポート Vol.2

 電力や再生エネルギー、脱炭素ソリューションなど、新たな事業領域への進出とビジネスモデル変革に挑む東京ガス。そこで顕在化したのが、デジタル投資によるITコストの増大と複雑化という問題だ。従来のコスト管理方法では限界が来ている……そう感じた同社 CIOの遠藤陽氏は、テクノロジー投資の中身を可視化し、投資が生み出す価値を明確化・最大化する「TBM(Technology Business Management)」という手法に着目した。2025年7月10日に開催された「TBM Summit 25:Japanローンチイベント」で、同氏が語ったTBM導入の道のりと実践の事例をレポートする。

事業変革の到来で露呈した、IT資産「どんぶり勘定」の限界

 創業140年を迎える東京ガスは今、大きな変革期を迎えている。首都圏を中心にガスと電力を供給してきた同社だが、エネルギー市場の自由化により競争環境が激変した。CIOを務める遠藤陽氏は、次のように話す。

 「エネルギー市場が自由化される前は、ガスの契約件数が2100万件以上ありました。しかし、2017年にガスの自由化が始まると、それが減少傾向に転じました。一方、2016年に自由化がスタートした電力のお客様に関しては、我々は新しく顧客を獲得していく立場で自由化の波に乗り、今は400万件を超えるまでに至っています」(遠藤氏)

 しかし、日本では人口減少が不可避であり、従来のガスや電力市場の大幅な拡大は期待できない。そこで同社が描いているのが、“成長性”と“収益性”を2軸とした新たな事業ポートフォリオだ。従来のガス・電力事業では徹底的な効率化を進める一方で、GX(グリーントランスフォーメーション)やエネルギーソリューション事業への投資に注力している。

 「たとえばGXの分野では、太陽光発電や風力発電のほか、水素から合成ガスを生み出して、天然ガスの代わりに利用する技術の開発に取り組んでいます。また、ソリューション事業では、脱炭素のための蓄電池活用や、エネルギーサービスの提供を手掛けています。いずれも技術開発と設備投資が必要な取り組みで、安定した収益を生み出すまでには時間のかかる世界です」(遠藤氏)

 さらに同社は、すでに収益を上げながら成長も期待できる領域として、ガスのトレーディング、海外事業、不動産事業なども展開している。

 こうした事業変革の潮流にともない、IT活用のニーズが急激に増加しているようだ。しかし、IT資産の管理は思った以上に難しく、遠藤氏は率直に「端的に言えば、これまでは『どんぶり勘定』での管理だった。コントロールしたいとは思っていたが、なかなかできない状況だった」と述べた。

 東京ガスのITシステム環境は複雑だ。約300のシステムとアプリケーションが存在し、利用している技術やパッケージも様々である。システム間の連携は個別に行われているため、全体像の把握は困難を極める。これは、同社が長年エネルギーという規制事業に身を置く中で、何事も“品質重視”で運営してきた結果でもある。「料金を一銭たりとも間違えてはいけない世界で、ITも品質を重視した構造になっている」と、遠藤氏は背景を説明する。

 この品質重視の構造が、既存事業の安全・安心な運営を守る一方で、新しいビジネスモデルへの対応を困難にしていた。新たな事業やサービスでシステムを使いたいとなっても、すぐには対応できずビジネスのニーズに追いつけないという状況が常態化していたのだという。

 そこで同社は、システム構造全体のシンプル化と標準化を進めている。「基本的な考え方も、品質重視から“スピード重視”へと切り替えている。事業の構造改革に合わせて、ITも構造改革を進めているところだ」と遠藤氏は話す。

 なお、遠藤氏は東京ガスのCIOであると同時に、同社の子会社でグループ全体のITに責任を持つ、東京ガスiネットの社長も務めている。

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TBMとの出会いが転機に、独自のデータ構造をグローバルスタンダードへ

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務とWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業した。編集プロダクション業務では、日本語と英語でのテック関連事例や海外スタートアップのインタビュー、イベントレポートなどの企画・取材・執筆・...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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