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安定経営の「真面目すぎる社風」を追い風に──老舗・キッツで“黒船CIO”が組織の沈黙に切り込む

「CIO Japan Summit 2025」セッションレポート


人材獲得難の時代「シニア人材」に脚光

 人材不足という課題に対し、石島氏は柔軟な発想で対応している。ベトナムのFPT社とパートナーシップを締結し、業務系アプリケーション開発からAI開発まで幅広く委託する一方で、国内では再雇用者(シニア人材)の活用に注目している。

 「最近やってみたいと思っているのは、再雇用者の活用です。各部門はエース人材を出したがらないので、再雇用の方々を集めて、その人たちにITの使い方を教える。新人に一から本業ビジネスを教えるよりも、既に業務を知っている人にIT知識を教えるほうがはるかに簡単です。技術の進化は、技術を簡単にしているので」(石島氏)

 実際に67歳の再雇用者がIT教育やデータ分析教育の講師を務めており、「67歳の人でもできるのだから」という説得力で、他の従業員の学習意欲を高める効果も生んでいる。

最高益の更新へ 「AI CoE」を組成でAI活用を推進

 これらの取り組みの成果は数字にも表れている。2024年度の売上高は1720億円、営業利益は142億円といずれも過去最高を更新。2027年度には売上高2000億円、営業利益200億円の目標を掲げている。また、IT部門に対する社内ユーザー満足度が2019年時点で66.8%だったところから既に94%となり、今も改善を続けているほか、アウトソーシングなどによって運用保守(システム維持)業務の比率を70%から22%まで削減することで、プロパー社員は約80%のリソースをDXや新規企画に振り向けられるようになった。

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 2025年から3年間の第2期中期経営計画では、組織を従来の機能軸から世界各地の市場別に再編成。「各市場のニーズはまったく違うので、そのニーズに合わせた最適なシステムを提供していく」方針だ。

 AI活用についても積極的に取り組む。IT部門内に専門組織「AI CoE」を新設し、AIを利用するためのサポートや啓蒙を推進。社内ではChatGPT、Microsoft Copilotといった汎用的なAIツールを使うだけでなく、従業員が人事やIT関連の問い合わせをすると自動回答してくれる生成AIなど、業務に特化したAIツールを続々とリリースしている。

 「従業員たちは口ではAIを使いたいと言いますが、そうしてもシステムに100点を期待してしまうのと、『私の仕事は特別でAIでは無理かも』と思っている部分もある。まずAIの素晴らしさを認識してもらい、自分たちの仕事でAIに置き換えられる部分を考えてもらうことから始めています」(石島氏)

目指すは、日本の製造業を牽引する「タグボート」のような存在

 最後に石島氏は、同様の挑戦を考えている経営者やIT責任者に向けてメッセージを送った。

 「魔法はありません。一つ一つの問題を確実に解決していく。これをやるしかない」(石島氏)

 そのためには、「社長や経営陣を全面的に味方につけることが必須。一部の部署や人だけでは変革は不可能」と組織全体を巻き込む重要性を強調。また、「過去の栄光や習わしは全部捨てて、IT担当者は全責任を負う覚悟で必要なところにはどんどん入っていく。忖度は絶対にしない」という強い意志も必要だと語る。

 「人が採れないなら、来てもらうためにはどうしたらいいかを考える。日本がダメなら海外を使う。課題を嘆くより、どう打破するかに力を使ったほうがいい」(石島氏)

 石島氏は講演の最後を「タグボート(港湾で大型船の離着岸をサポートする小型船)のように、日本を引っ張れるぐらいの会社にしたい」という言葉で締めくくった。業績好調な歴史ある企業であっても、時代の変化に合わせた変革は必要不可欠。その変革を成功に導くには、経営トップの意志、組織の風土醸成、そして変革を率いるリーダーの覚悟が揃って初めて可能になることを、キッツの事例は物語っている。

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この記事の著者

加藤 智朗(カトウ トモロウ)

 Forbes JAPAN編集部を経て、フリーの編集・ライター。経済誌・経済メディアで編集、企画、制作管理、デスク、執筆などを担当。関心領域はスタートアップや海外動向をはじめ、ビジネス全般。ポートフォリオ(制作実績など)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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