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「脱VMware」の現実解とは? アイ・オー・データ機器に学ぶ、クラウド移行の戦略的アプローチ

更新の見積もりは“極めて”高額に……

なぜOCIだったのか? コストと既存スキルの活用が導いた最適解

 当初、既存ベンダーから提示されたオンプレミス更新の見積もりは、一部だけでも“極めて高額”であり、全体では非現実的なコストとなることが判明した。そう話すのは、I-O DATAの小倉隆司氏だ。そうした状況もあり、他の選択肢を模索する中でクラウド化の検討を始めたという。

アイ・オー・データ機器 DX推進部 副部長 兼 情報システム課 課長 小倉隆司氏
株式会社アイ・オー・データ機器 DX推進部 副部長 兼 情報システム課 課長 小倉隆司氏

 クラウド化を進める上では、既存のVMware環境の運用管理ノウハウを最大限に活用できることを重要視した。新しい技術を習得するためのコストは、少人数体制では無視できないと判断したためだ。そこでOCVSだけでなく、VMware Cloud on AWS、Azure VMware Solution、Google Cloud VMware Engineといった主要な「VMware on Cloud」タイプのサービスを比較検討し、最終的にOracle Cloud Infrastructure(OCI)の採用を決める。

 OCVSは、既存のVMwareスキルをそのまま転用できる点が大きな利点だ。これによりアプリケーションや運用体制への影響を最小限に抑えつつクラウドへ移行できる、と判断された。さらにOCIではコアやメモリ、ストレージあたりの価格に他社よりも競争力があり、スペックの選択肢も豊富かつ、最も安価なエントリー価格が用意されていたこともポイントだったという。オンプレミス環境での更新の見積もりが既にクラウドの数倍に達していたことを踏まえれば、コスト面での優位性は明らかだった

 加えて、OracleデータベースをOracle Base Database Service(BaseDB)に移行することでライセンスコストを抑えられ、「VMとOracle Databaseを統合管理できるのはOCIだけ、という点が決定打となった」とI-O DATAの松元一樹氏は話す。

アイ・オー・データ機器 DX推進部 情報システム課 課長代理 松元一樹氏
株式会社アイ・オー・データ機器 DX推進部 情報システム課 課長代理 松元一樹氏

 Oracle社によるサポートや無償支援サービス「Oracle Cloud Lift Services(OCLS)」を利用することで、基本構成などをスムーズに決定できた点も高く評価している。導入過程では、OCLSによるフィジビリティスタディなどの支援を受けながら、移行方針やシステム構成が段階的に策定された。ただし、ハードウェアの保守期限が迫っていたこともあり、大規模なPoCは行わず、本番環境を早期に構築し、その中で検証するアプローチをとった。これは、松元氏によれば「PoC環境の構築にもコストがかかるため」だ。ならば先に本番環境を作り、問題があればその場で対処するアプローチをとった。

提供:株式会社アイ・オー・データ機器
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 なお、実際の移行作業は、VMware上の仮想環境をVeeamを用いてOCVSへ、Oracle DatabaseのデータはData Pump ユーティリティを用いてBaseDBへ移す計画が立てられた。このとき対象となる環境は100台以上にも及んだ。

提供:株式会社アイ・オー・データ機器
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 加えて、OCIへの移行にともない、利用者への影響を最小限に抑える工夫もある。たとえば移行後のシステムでは可能な限りIPアドレスを変更せず、ユーザーが特別な操作を意識することなく利用できるよう配慮されている。現在I-O DATAでは、外部データセンターに置かれたサーバー移行が2025年7月に完了し、自社サーバールーム内の仮想マシンの移行が順次進められている状況だ。

「リフト&シフト」の先に見据える、真のDXとモダナイゼーション

 OCIの導入は、多岐にわたるメリットをもたらすと期待されている。まず、サーバーの性能限界や空きリソースを考慮する必要がなくなり、業務システム設計の制約から解放されることで、開発スピードの向上業務システムのモダナイゼーションが推進されることだ。これにより、ハードウェア管理などに割かれていたリソースを削減でき、その分だけ事業競争力の強化を図れる。

 今後I-O DATAでは、OCI上にデータ分析基盤を整備し、大規模データのリアルタイム処理を通じて、各部門におけるDXを目指す。また、OCIに統合された多くの業務システムと外部クラウドサービスとの連携を強化し、業務プロセス全体の可視化と最適化、そして全社横断的なプロセスの仕組み化も実現していく。

提供:株式会社アイ・オー・データ機器
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 同社は、今回の「リフト&シフト」はモダナイゼーションへの第一歩と位置づけており、将来的にはコンテナやAIといった、OCIのクラウドネイティブサービスを活用するアプリケーション刷新も視野に入れている。今回のOCI導入を契機に、ITインフラのレジリエンスと俊敏性を高め、長期的なデジタルトランスフォーメーションを推進していくこととなる。

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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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