2025年8月27日、菱洋エレクトロは、企業向けAI導入サポートプログラム「RYOYO AI Techmate Program」にデジタルツイン導入支援メニューを追加し、「RYOYO AI Techmate Program for Digital Twin」として9月から提供することを発表した。

菱洋エレクトロ株式会社 執行役員 ソリューション事業本部長 青木良行氏
avatarin株式会社 代表取締役 CEO 深堀昂氏
RYOYO AI Techmate Programは、昨年に公表された生成AIを導入するためのサービスで、現時点で大型案件として50件以上の引き合いがあり、既に5件の案件を受注している状況だ。企業統合後、リョーサン菱洋グループとしても提案を強化している段階だという。今回、「RYOYO AI Techmate Program for 生成AI」において、コンサルティング支援のメニューを正式に追加することも明言された。AIスタートアップのレトリバ社と協業することで、ユーザーの“期待”を明確に(目標を明文化)することから着手することを特徴として、下図のような4ステップで支援していくとのことだ。

菱洋エレクトロの青木良行氏は、生成AIの潮流が“フィジカルAI”に移り変わっていくことを示すと、「日本企業は、グローバルとは異なる課題を抱えているため、独自のフィジカルAIが出現していくと考えている。(企業統合も踏まえて)半導体商社としての強みも活かしながらフィジカルAIに注力していく」と述べる。
NVIDIAとしてもフィジカルAIへの道筋を描いているとして、エヌビディア 高橋想氏は「DGXやAGX、NVIDIA Omniverse with Cosmosを提供しているように、フィジカルAIには現実空間におけるデータセットが必要になる」と述べると、不足する学習データをデジタルツイン(NVIDIA Omniverseなど)でも補っていく必要があると話す。
また、全日本空輸(ANA)からスピンアウトしたavatarinの深堀昂氏も、現実世界のデータセットを取得することの重要性を訴えると、「人手不足に直面する日本においては、現場対応できる人材を獲得することが難しくなっている。だからこそ、人とAIを組み合わせることが重要であり、デジタルツインによる学習の最適化なども欠かせない」と語る。
具体的に菱洋エレクトロでは、エッジデバイスへの組み込みGPU、AIモデル学習コンピューター、デジタルツインを「3コンピューターソリューション」と呼称し、それらの基盤整備を進めていくことが肝要だとした。9月から提供を開始する、RYOYO AI Techmate Program for Digital Twinは、デジタルツイン領域を補うものだ。

また、RYOYO AI Techmate Program for Digital Twinの提供にあわせて、フィジカルAIの実現に向けて「RYOYO Techmate制度」というパートナーエコシステムも拡充。開発支援サービスやコンサルティングサービスも提供していきながら、製造現場や空港、医療現場、飲食店などでの活用を描いているとした。

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岡本 拓也(編集部)(オカモト タクヤ)
1993年福岡県生まれ。京都外国語大学イタリア語学科卒業。ニュースサイトの編集、システム開発、ライターなどを経験し、2020年株式会社翔泳社に入社。ITリーダー向け専門メディア『EnterpriseZine』の編集・企画・運営に携わる。2023年4月、EnterpriseZine編集長就任。
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