DATAFLUCTは、自然言語の対話だけでデータ分析を自動化する「Airlake BI Agent」β版の提供を開始した。SQLやPythonの知識が不要で、従来9時間かかっていたレポート作成を30分に短縮し、“全社員がアナリストになる世界”を実現するとしている。
同サービスは、β版段階で建設業や小売業を含む国内企業5社での導入がすでに決定しており、11月より順次本番運用を開始予定だという。サービスの提供を通じてデータ活用の属人化と、それに伴う意思決定の遅延を解消するとのことだ。専門知識がなくてもビジネス担当者自身がデータを扱える「データ活用の民主化」を推進すると述べている。
9時間/週の分析業務が30分に。専門BIツール不要、全社員がアナリストに
たとえば、マーケティング担当者による「週次キャンペーン効果測定レポート」作成を想定した試算では、従来3名の専門家(マーケター、エンジニア、アナリスト)が9時間をかけていた作業を、担当者1名がAIと対話するだけで30分に短縮したという。95%の工数削減を実現すると同時に、専門BIツールも不要に。意思決定の即時化を実現したとのことだ。


主な機能と提供価値:高速かつ文脈を理解したデータ分析
専門知識が不要な、自然言語での対話操作
「〇〇のデータを抽出し、▲▲でグルーピングしてグラフ化して」といった日本語でのリクエストで、AIが意図を汲み取り、SQLやPythonコードへ自動変換し、ユーザーの手なしに一連のデータ操作を完了させることが可能だという。

5つの専門AIエージェントによる並列処理
ユーザーからのリクエストに対し、裏側では専門的な役割を持つ5つのAIエージェントが自律的に連携し、並列処理を実行することで、日本語の微妙なニュアンスを理解し複雑な要求にも高速に応答するとのことだ。
- 意図抽出・計画立案エージェント
- データ取得エージェント
- データ可視化エージェント
- データ解釈エージェント
- データ品質チェックエージェント

1%未満のハルシネーションリスク
AIがデータベースの構造を正しく理解する「スキーマグランディング」や、RAG技術を駆使することでハルシネーションのリスクを1%未満に抑制し、高品質なデータ抽出を可能にしたと述べている。

ユースケース:対話で完結する、データ抽出〜レポート作成の業務例
マーケティングから製造現場まで、あらゆる部門で活用できるとのことだ。これまで専門家への依頼や手作業の集計に費やしていた時間をなくし、担当者が知りたい瞬間に答えを得られる体験を提供するとしている。
1. CRM分析:LTV最大化のための顧客セグメント抽出とキャンペーン評価
- 目的:ターゲット顧客ごとの反応率を分析し、施策の改善につなげる
- 従来の課題:抽出条件の設定や、セグメントごとの効果検証にSQL知識が必要
- BI Agentの動作:「『過去3ヵ月以内に購入履歴があり、直近1ヵ月以内にメルマガを開封したユーザー』を抽出して、キャンペーンAとBでのコンバージョン率を比較して」などの自然言語指示により、セグメント定義からSQL生成、結果の可視化、インサイトの要約までを自動実行
2. リテール業務:POSデータ分析による時間帯別・店舗別の売上可視化と発注最適化
- 目的:需要予測に基づいた適正在庫の維持
- 従来の課題:担当者ごとの手動集計により属人化・タイムラグが発生
- BI Agentの動作:「昨日の店舗別×時間帯別の売上推移を可視化し、欠品リスクのあるSKUをリストアップして」などの指示で、POSデータと商品マスタを読み込み、在庫量・販売傾向に基づいた発注リストを自動生成
3. SCM部門:在庫回転率・納期遵守率などのKPIダッシュボードを即時出力
- 目的:需給ギャップの早期発見と対策立案
- 従来の課題:KPIの定義や抽出条件が複雑で、毎月の更新に時間がかかる
- BI Agentの動作:「SKU別に、在庫回転日数が180日以上のものを一覧化して」「納期遵守率の低い仕入先TOP10を可視化」などの指示で、ダッシュボードを即時構築。PDCAの可視化と改善提案まで自動化
4. 製造現場:IoTセンサーデータと品質ログを組み合わせた歩留まり改善シミュレーション
- 目的:製造工程の異常検知と品質向上
- 従来の課題:構造化されていないログとセンサーデータの統合が困難
- BI Agentの動作:「過去1ヵ月の不良品率と、ラインごとの温度変動の関係性を可視化して」などの自然言語で、異常検知と要因分析を実行。工程ごとの歩留まりを改善するシナリオを提示
今後の展望
β版段階で建設業、不動産業、小売流通業、運輸事業、消費財製造業を含む国内企業5社での導入がすでに決定しており、11月より順次本番運用を開始予定だという。今後は「国産で使いやすいBIツール」としての地位を確立するとともに、機能をAPIとして開放し、顧客システムへの組み込みを可能にするなどの拡張を図るとのことだ。
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EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)
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