Salesforceが提案する新しい情報共有の形
セールスフォース・ドットコムが開催する企業向けクラウドコンピューティング・イベント「Cloudforce 2 Tour Tokyo」。基調講演には、来日した米国セールスフォース・ドットコム プレジデント兼チーフ・セールス・オフィサーのフランク・ヴァン・ヴィーネンダール氏が登壇。クラウド市場における同社の業績や新サービス「Salesforce Chatter」の説明を行った。
今回のイベントの目玉は、日本でのプライベートベータ・プログラム開始が同日発表された「Salesforce Chatter(以下、Chatter)」。Chatterは、Facebookやmixiのようなソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)をベースに、twitterのようなつぶやき機能を組み合わせた、企業内の情報共有や共同作業を促進するためのアプリケーションだ。
「現在のビジネス環境の課題は情報が多すぎることにある」。ヴィーネンダール氏は今の企業が抱える慢性的な課題について分析する。「社内に膨大な情報があるにもかかわらず、そのほとんどが活用できていない。そのことがビジネスにとって損失をもたらすことがある」。
例えば、失注した後にクライアント企業のキーパーソンとのパスが社内にあることが発覚したり、商品の価格表が更新されていることに気がつかず顧客に提案をしてしまうなど、情報の共有・アップデートができていないことによって生じるビジネスへの損害を指す。
「今求められているものはリアルタイム性だ。従来のコラボレーション・ツールは情報をプッシュする技術が不十分だったためそのリアルタイム性に欠けていた。MicrosoftのSharePointで情報共有はできるだろう。しかし、その何千というデータベースからどうやって必要な情報を探し出すことができるだろうか。もっと別の方法が必要だということだ」(ヴィーネンダール氏)。
「現実的な」情報共有の実現手段を模索した結果、たどり着いたのがコンシューマ向けのソーシャル・サービスだった。「われわれが求めていることは、AmazonやeBayといった消費者の世界では実現できている。mixiやFacebookが達成したことをビジネスでもやりたい」。そんな理念の下、新たにセールスフォース・ドットコムのサービスに加わったのが、今回発表されたChatterというわけだ。