SAP Aribaを5.5ヵ月で導入したNIPPON EXPRESS 鍵は「現場の声は聞かない」覚悟
国内59社/グローバル約60社への展開支えたDAP「WalkMe」
成功の秘訣は「情熱」 “地道な努力”が実を結んだプロジェクトに
今後、NIPPON EXPRESSは、SaaSを組み合わせたマルチプラットフォーム戦略により、グループ経営管理基盤のさらなる高度化を目指す。WalkMeの活用範囲を広げながらオペレーションのDX、データ利活用の精度向上、そして生成AIを活用した省人化を実現していく計画だ。
また、フロントシステムにもCelonisやServiceNowを適用し、生成AIと組み合わせて活用していくことも視野に入れている。これにより、“レガシー化しない”システム運用を目指し、持続的な改善サイクルを回していくと日下氏は話す。

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今回の大規模かつ短期間でのシステム導入プロジェクトの成功には、複数の要因が挙げられる。まずは日立製作所やWalkMeなど、多岐にわたるベンダーが「ワンチーム」として協業できた点が大きい。自社のプロジェクトメンバーが少ない中、少数精鋭でプロジェクトを立ち上げながら、外部の協力者を「仲間」として連携してきたと日下氏。その上で「プロジェクトメンバー全員の意識を一つにして前進できたことが、成功の最大のポイントだ」と振り返る。
一人ひとりが“自分事”として情熱をもって取り組んだことに加え、対面での密なコミュニケーションを促したことも迅速な課題解決と知識共有を可能にしたという。加えて、陣頭指揮を執る日下氏がIT部門出身ではなかった点も大きく、あくまでも業務視点からFit to Standardを素直に推進できたことで、システムの作り込みに走らずに済んでいる。
日下氏は、今回のプロジェクトを「地下アイドルがコアなファンを獲得し、最終的にメジャーデビューして東京ドームに立つようなストーリー」とも表現する。鳴り物入りで最初から大きな舞台で活躍するのではなく、地道な努力と情熱を徐々に結実させたことが、結果的に大きな成果につながったのだ。

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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
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