台湾第2の都市・高雄の魅力
私事で恐縮だが、筆者も台湾との縁が深い。初めて台湾を訪れたのは、1999年9月21日に起きた台湾中部大地震の時であった。当時、大学生だった筆者は、ボランティアとして災害救援に参加。以来、すっかり「哈日族」(台湾被れ)になり、年に2回は訪問している。
台湾と言えば、台北ばかりに目が行きがちだが、筆者が最も気に入っているのが、人口約151万人の台湾第2の都市・高雄だ。温暖な気候に恵まれ、年間を通してマリンスポーツも楽しめる高雄は、世界有数のコンテナ港を有する「水の都」として発展。高層ビルやマンション、ショッピングモールが拡大する一方、台北と違って、日本統治時代の跡が色濃く残っており、今は高雄市立歴史博物館として使用されている旧高雄市役所も、清水建設が設計・施工したという。
街に出れば、当時の日本式の木造家屋、日本語の看板が氾濫。どこか懐かしさを感じさせる。食べ物も豊富で、夜市に繰り出せばマンゴー、パパイア、パイナップルといった南国ならではのフルーツはもちろん、黒マグロのソーセージや海鮮粥といったシーフード料理も味わえる。
高雄は、世界中の「台湾ロビー」が跋扈する権力の中枢たる首都・台北と違い、政治臭さ、きな臭さが全く感じられない。2007年3月に日本の新幹線技術を海外で初採用した台湾高速鉄道が開業し、台北―高雄間が約90分で結ばれたことで、台北から高雄までの日帰り旅行も可能になった。明るく開放的な高雄の雰囲気を、ぜひ多くの日本人に味わってもらいたい。
加えて台湾は世界一の親日国である。昨年末から今年初めに掛けて、「交流協会」が、台湾人約1000人を対象に「台湾における対日世論調査」を実施。それによると、「最も好きな国は?」との質問に、52%が「日本」と回答し、第2位のアメリカ(8%)、第3位の中国(5%)を大きく引き離した。日本人と台湾人には本能的な強い絆があるのだ。
台湾は確かに国際的には孤立している。しかし、日本と台湾は、自由、民主、人権、法治という普遍的価値観を共有し、日本の安全保障上、譲ることのできない生命線である。日中関係も大切だが、日台関係も劣らず重要であることを忘れてはならない。